開成番長の勉強術:12月のスランプを親子で乗り越えた早稲田中学受験体験記

繁田 和貴(開成番長)

こんにちは。個別指導塾テスティー塾長の繁田和貴です。

お子さんは、毎日楽しく塾に通えていますか?

新学年・夏期講習・小6受験直前期と、負担が大きくなり勉強がつらくなるタイミングはいくつかありますが、そこをうまく乗り越えることは受験を成功で終えるためにはとても大切です。

体は大きくなってきますが、まだ9〜12歳の子どもの心はとても未熟です。

本人なりに頑張りたいと思っていても、親が期待するほどには頑張れないこともありますし、限界を超えてしまえば何も手につかなくなってしまうこともあります。

そんな子どもたちに負担が大きいタイミングを乗り越えさせるためのヒケツを今日はお伝えしたいと思います。

これからご紹介するのは早稲田中学校に進学したS君のお母さんが書いてくれた受験体験記です。

読んでいただくとわかるのですが、S君は受験直前期の小6の12月から、勉強ができなくなってしまいました。「もう勉強したくない」と言って、「燃え尽きたボクサーのように」勉強をすべてやめてしまったのです。

1月校の受験もしませんでした。

私たちも内心あわてましたが、お母さんはより一層あわてたことでしょう。

そこからどうやって本人の気持ちを立て直して2月の受験に挑ませたかは、きっと皆さんにも参考にしていただけるんじゃないかと思います。

どのお子さんにも、くじけそうになるとき、燃え尽きそうになるときがあるでしょう。そんなときにはこれからお伝えする話を思い出していただき、お子さんの気持ちを立て直してあげてください。

S君のお母さんの受験体験記、ご覧ください。

息子が受験のために大手塾に通い出したのは3年生の2月からです。6年生になってから成績が乱高下するようになり、本人が希望する第一志望校が厳しくなり、息子自身も自信がなくなっていきました。

そこで、夏休み前に以前「記憶講座」でお世話になったテスティーに行ってみては、と声かけしたのですが、「個別で先生にじっと見られながら問題なんか解けない」と一言で終わり。そのまま怒濤の夏期講習に突入。厳しいスケジュールからか、思うように成績が伸びないせいか、だんだん息子の顔から表情がなくなっていきました。

そして夏休み明けのテストでまた成績が下がり、さすがに自分でもまずいと思ったのか、自らテスティーに通うようになりました。そこで大手塾のサポートと基本を見直す勉強を見て頂きました。毎回講師の方と保護者でやり取りするチェックノートに勉強不足な点や親の不安を書くと、先生から息子のペースでできる範囲でやればいいとお返事がありホッとしました。

このようにサポート体制を万全にしたつもりが、12月の終わりごろから息子は「もう勉強したくない」と、まるで燃え尽きたボクサーのように勉強を全てやめてしまいました。1月校の受験もせず。

本当にお手上げ状態で途方に暮れていたところ、繁田先生から「勉強しなくていいから話にだけおいでよ」と声をかけていただき、本人と話してもらいました。

私にも、「中学受験は全てではないので今は休ませて本人がやる気になるのを待ちましょう」と言葉をかけてくださいました。

本当にそうだと思い、中学受験はしなくても、まずは我が子が健康で笑顔でいてくれることが一番だと私もあせるのをやめ、本人の好きなようにさせていたところ、1月末に「過去問やった方がいいかな?」とやり出したのです。

少しずつですがまた勉強しだしました。ただ、1ヶ月近く何もしなかったのでまず受からないだろうし、受験当日の朝になって行かないと言い出すのではと思っていました。

そして当日の朝。息子は6時に起きて準備しました。私たちはただ、3年間頑張ってきたことの集大成として参加してくれることを喜びました。

そして早稲田の校門の前でテスティーの先生に声をかけられて驚きました。来るかどうかわからない息子のために朝早くから待っていてくださったのです。ありがたくて泣きそうになりました。そして、「きっと勝つ」のキットカット。チョコは食べない息子ですが「お守りだから」とカバンに入れて校舎に入っていきました。

また、翌日の第二志望の学校にも算数担当の先生が待っていてくださり、揉んで温めていたメッセージ付きのカイロをくれました。それもまた大事そうに息子は持って試験会場に入っていきました。

そして結果発表。まさか受かるとは思っていなかったので本人が一番目を丸くして、でもみるみる笑顔に。久しぶりに見る息子の笑顔でした。

1つの通過点としての中学受験ですが、そのプレッシャーは子どもにとって大変なものです。私は気づかずに叱咤激励ばかりしていて、息子が勉強を拒絶する状態になってしまいました。息子にはこの辛さを乗り越えたことを糧に今後逞しく成長していってほしいと願います。

テスティーの先生方は休みがちな息子にいつでもおいでと待っていてくださり、支えて頂いたことを本当に感謝しています。
ありがとうございました。

S君のお母さんありがとうございました。

お子さんがくじけそうになったときの接し方がおわかりいただけたでしょうか?

簡単にまとめると、「受け止めてあげること」です。

叱咤激励をするよりも、「大変だよね」と共感してあげることの方が、子どもにとって力になります。

大人の基準で「受験生なんだからこれくらいやらなければ」と考えると、ほとんどの子どもはそれをクリアできません。子どもの中にはストレスばかりが残っていってしまいます。

「まずは我が子が健康で笑顔でいてくれることが一番だと私もあせるのをやめ…」とおっしゃっていますが、そういう視点でお子さんを受け止めて頑張りを認めてあげると子どもは頑張れるのです。

受験の直前期でしたが、お母さんがそのことに気づいてくれたので、2月の本番になんとか間に合いました。お母さんのサポートあっての本人の立ち直りと合格だったと思います。

学年が上がるにつれて、親である自分の方が変に気合が入ってしまっていませんか?

特に6年生の保護者だったりすると、「もう受験生なんだから」とお子さんを叱咤激励しがちです。でもお子さんの頑張りを引き出したければ叱咤激励よりも良いやり方があります。

「頑張れ!」よりも
「頑張っているね!」と伝えましょう。

お子さんがしんどそうにしているときは、その大変さを受け止めてあげましょう。

このことを私はよくイソップ寓話の「北風と太陽」に喩えます。あの勝負で北風と太陽のどちらが勝ったかはご存知ですよね。

つい強くあたってしまいそうになったら、「太陽作戦!」と心の中で唱えてみてください。そしてお子さんを温かく見守りましょう。

ぜひお子さんを伸ばす親力を発揮してくださいね。

それでは!