維新は東京で「23区再編」論争を仕掛けてみては?

2020年12月24日 06:00

おそらくアゴラ編集長としては筆者が永田町の記者会見に行くのはこれが最後だろう。きのう(12月23日)、日本維新の会は、次期衆院選 東京選挙区の立候補予定者の“顔見せ”を行った。

記者会見した維新の馬場幹事長、東京立候補予定者ら

この日は都知事選で善戦した小野泰輔氏(1区)ら12人の支部長が出席。都内に25ある小選挙区のうち、およそ半分となるが、選挙戦では3分の2(18人)程度を擁立し、都内で100万票獲得を目標に据える。

維新は前回衆院選では小池都知事率いる希望の党と選挙協力を行い、東西を住み分けた。これにより、小選挙区での候補者は出さず、東京ブロックの比例に3人を出しただけだったが、選挙区に候補者がいなければ集票はおぼつかない。得票は20万に届かず、当選者を出せなかった。

それだけに、この日、司会をつとめた音喜多君は深夜に更新したブログ

前回、希望の党との調整で東京都内の小選挙区立候補はゼロであったことを考えると、これだけの支部長を揃えて総選挙を迎えられることは感慨深い

との心境をつづり、「12使徒」と称してエールを送った。

しかし、いまの維新はとても浮かれている場合ではない。ただでさえ東京は維新にとって「アウエー」の地。大阪都構想の住民投票敗北で党勢の全国展開に陰りが指摘される。すでに筆者は住民投票直後に指摘したのが次の大義はどうするのか。当然のことながら出席した記者たちからも住民投票敗北の影響に関する質問が相次ぎ、筆者も、東京維新最高顧問をつとめる馬場幹事長に今後の展望を尋ねた。

新田   維新としては次の「大義」に何を掲げるか模索中だと思うが、“アウエー”の東京で戦っていく上での展望は?

馬場   2回目の住民投票は残念ながら惜敗したが、全国的に統治機構を変えないといけないというムードが広がってきている。東京での一極集中の弊害、コロナ以前は満員電車で職場に通う、子どもが生まれても保育園に預かってもらえない、歳をとると高齢者の施設が満員で入れない、国民レベルでも大変な問題を抱えている。

今後の東京のあり方、23ある特別区、人口が5、6万人のところから最大では90万。特別区のあり方、人口はこれでいいのか、財源の配分、東京都からもらっている部分はこのままでいいのか、いろんな課題がある。これも統治機構の改革を行わないとなかなか解決していかない。日本全国で統治機構改革はこれから取り組んでいかないといけない。日本維新の会としては統治機構改革の山、頂上をめざすのは1ミリたりとも変わらない。

というわけで、党としての次の大義も「お家芸」の統治機構改革を旗頭にする方向になりつつあり、東京維新としては「23区再編」を視野に入れているのは確かなようだ。

「23区再編」は石原都政時代にはしばしば議論された。23区の間でも千代田区のように積極派もいれば、守旧派もいる同床異夢状態。さらには都側と区長会の間で話がまとまらず、10年近くまともに検討会での公式な議論すら行われていない。

六本木ヒルズを中心に都心部を空撮(key05/iStock)

ただ、馬場幹事長が述べたように、大阪住民投票を機に少なくとも報道関係者の間では、「そういえば23区再編ってどうなったのか」とばかりに取材記事がひさびさに散見されるようになった。東京新聞の記事は無料公開されており、古くから再編論者である都庁OBの佐々木信夫氏の最新版の構想、あるいは1999年に提唱された森ビル系の森記念財団による再編案のマップが掲出されていて参考になる。

「大阪都構想」盛り上がってますが… 東京23区を再編するなら?(東京新聞 10月30日)

それでも盛り上がりにかけるのは、大阪と同じく既存の行政システムの護持に汲々とする区のステークホルダーたちの存在が大きい。いざ再編に切り込むとなると、区役所、区議、都議だけでなく、地元の各種団体も抵抗するだろうから、大阪市のバトルの比ではあるまい。あの剛腕、石原慎太郎ですら1ミリたりとも進められなかった「岩盤」といえる。

しかし、人口減少、高齢化、そしてコロナ禍など、都民を取り巻く環境が激変している以上、医療体制をはじめ、これまでのあり方でいいのか、議論すら行われないというのは不健全ではないのか。その意味では、維新は、東京に地盤がなかった「弱み」を「強み」に変え、衆院選や都議選を通じて、都民に問題提起し、独自政策にもできるのではないか。

もちろん、大阪の住民投票すらできなかったなかで、それよりスケールの大きな23区再編をぶち上げることは説得力を欠くという冷ややかな見方はあろう。しかし、ほかにぶち上げる政党がない中では、一つの方向性ではないだろうか。

23区の区長の中には再編に関心の強い人も少なからず存在する。そうした人たちと水面下で連携を深め、実効性のあるアプローチを模索しても面白いかもしれない。

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