石破 茂です。
本年一年、大変なお世話様になり誠に有り難うございました。心より厚く御礼申し上げます。様々なご意見を当ページのコメント欄やメール、直筆のお手紙で頂きましたことにも、改めて感謝申し上げます。
新型コロナウイルス一色に終わった一年でしたが、一年を終えるにあたって、ここでもう一度落ち着いて事態を冷静に分析し、対応を見直す必要があるように思われてなりません。
陽性者数は増加の一途を辿り、コロナ対応病院におけるコロナ病棟の医師や看護師には過度のストレスがかかり、現場は医療崩壊の危機に直面しています。そして病院全体ではその他の来院者が減少し、経営が極めて厳しくなっています。
ワクチンの接種も世界のごく一部で開始されたばかりであり、特効薬もない現状において、最も重要なのは「どのような治療を施せば重篤化した患者が死に至らないで済むか」ということではないのでしょうか。まずはあらゆるリソース(人、装備、資金)をこの点に集中させるべく政策を立案・実施することが優先されるべきで、いたずらに不安を煽るような言質はこれを妨げることになりかねないことを危惧しております。
志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなった四月頃と比べて、なにが重篤化を招くのか、またそれに対する治療法は何があるか、分かったことも相当にあるはずですが、日々のワイドショーなどではそういった冷静な分析はほとんどされていないように思われます。医療現場に資金を配分すれば人材や医薬品・装備品を用意することができる余地のある間に(カネがあってもモノや人材が調達できずに恐ろしい思いをしたのは、ほんの数カ月前のことです)、重篤化対策を最優先とし、そこから順に手当てして、無症状者の隔離体制まで整えておくべきものではないでしょうか。
自衛隊についても同様のことを申し上げたことがありますが、個々人の強い使命感とプロ意識のみに依存した体制は持続性を持たないのではないでしょうか。
その上で、今回の新型コロナウイルスはエッセンシャルワーカーの方々や弱い立場にある方々をより高いリスクにさらしていることを踏まえて、社会的に弱い立場の方々を守るための経済的施策を、よりピンポイントで行えるよう考えるべきではないでしょうか。
次期通常国会においてはこのような議論こそ行われるべきなのであり、党利党略は一切排すべきものです。正確な数字と分析によって、国民に少しでも安心感を持って頂けるようなメッセージを発し、国家としてのセーフティネットを明確に提示する、それによって弱い立場の方々が苦しむことの無いようにすることも政治の使命です。
結果はいずれ、主権者である国民が総選挙において判断します。いわゆる「桜を見る会」関連の対応も然り、国民に対して誠実であるかどうかは、結局国民によって判断されるしかありません。こういった国民・有権者に対する怖れを決して忘れることの無いよう、改めて自戒して新年を迎えたいと思います。
24日、作詞家・作家のなかにし礼氏が逝去されました。
氏が手掛けられたザ・ピーナッツ、黛ジュン、いしだあゆみ、奥村チヨなどの作品群をはじめとして、大好きな作品も多く、やはり今年逝去された作曲家の筒美京平氏と共に、昭和を代表された偉大な方を喪い、まさしく一つの時代が終わったとの感を深くしています。
この夏頃から、なかにし氏のご希望で、某週刊誌における私となかにし氏との対談が企画されており、私も楽しみにしていたのですが、ご病状の悪化とコロナウイルス感染への警戒感から二回延期され、結局実現することはなくなってしまいました。
遺作となった「夜の歌」(講談社文庫)には、「王道楽土」を建国理念とし「五族協和」を唱えた幻の国・満州国に暮らし、その後、国家に見捨てられた人々の生き様が強烈なリアリティをもって描かれており、是非ともお話をさせて頂きたいと願っていただけに、ほんとうに残念でなりません。御霊の安らかならんことを切にお祈り致します。
本日は「報道1930」(19時半・BS―TBS)に出演の予定です。
12月30日は文化放送(ラジオ)特番「石破茂と古谷経衝、宇宙戦艦ヤマトを語る」が放送されます(20時・収録)。
大晦日は恒例の「景気満開テレビ」に出演します(午前7時・フジテレビ系列)。
今年の本欄はこれが最後となります。
皆様ご健勝にて良い年をお迎えくださいませ。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2020年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。