- ウィルソン『社会はどう進化するのか』
- 深尾京司『世界経済史から見た日本の成長と停滞』
- マクニール『疫病と世界史』(合本)
- Lomborg: False Alarm
- ロー『適応的市場仮説』
- スコット『反穀物の人類史』
- Goodhart & Pradhan: The Great Demographic Reversal
- 今野元『マックス・ヴェーバー』
- ハインドマン『デジタルエコノミーの罠』
- 岡山裕『アメリカの政党政治』
今年は何といってもコロナの年だったが、雨後のタケノコのように出てきた「コロナ本」には、読むべきものがない。疫病について広く史実を渉猟し、深く考察した古典は3である。日本で出た本では『感染症と文明』が今もベストだと思う。
進化論で社会を説明しようという動きが、さまざまな学問分野から出ている。1はその元祖となった生物学者が視野を人類史に広げたもので、5はそういう動きをおさらいして経済の動きを進化論的に説明するもの。6はそれを考古学的な資料で検証し、農耕中心の歴史観を批判する。
経済学では、2は明治以降の歴史から現在の長期停滞を分析するもの。日本ではリフレの次はMMTと近視眼的なバラマキが人気だが、長期停滞の構造的な原因を考えないと停滞は脱却できない。7の指摘する高齢化の影響も、マクロ経済的な分析が必要だろう。
もう一つ21世紀の資本主義を変える大きな要因は、9がデータで示すデジタル化・ネットワーク化の動きである。かつて自律分散型のベンチャー企業が巨大企業を倒すといわれたが、そういう局面は終わった。これから20世紀のIBMやGMを超えるグローバル独占の時代が来るかもしれない。アゴラ経済塾「デジタル資本主義の未来」ではそういう問題を考えたい(申し込み受け付け中)。