奮起せよ、首都公務員!緊急事態宣言の前に考えるべきこと

2021年01月03日 14:00

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

K2_keyleter/iStock

1/2、1都3県の知事より国に対して、緊急事態宣言の発出を求める要請がなされました。確かに、1都3県をはじめ、感染拡大がおさまる気配の無い現状において、何らかの行動を起こす必要があるのは間違いありません。

しかし、今回の緊急事態宣言の要請について、何を目的にしているのか、つまり、何をするために緊急事態宣言が必要なのかがまだ分かりません。

記者会見を見ると、「人流を止めるため(人と人との接触機会を減らすため)」ということですが、春先に行った全ての動きを止めようとした反動(リスク)に鑑みれば、止めるべきところと止めてはならないところの見極めをしなければ、大変な事態を招くことになります。

1.4月と今の”ちがい”

4月の緊急事態措置を振り返ってみると、カラオケやライブハウス、ネットカフェなどの遊興施設、大学や学習塾等、(小中高校は緊急事態宣言に関わらず休校されていた)スポーツクラブやパチンコ屋等の運動施設・遊戯施設、劇場や集会・展示施設、商業施設(一部業種)が利用停止とされ、保育施設や障害者施設、高齢者施設等は利用者が限定されていました。

今回、どのような業種に対して要請をかけていくのかは分かりませんが、当時と比べて、企業の体力(資金力)が低下していることから、更なる倒産や解雇は免れないでしょう。

学校や保育施設が止まれば、子どもたちの成長という意味はもちろんのこと、虐待や生活苦のリスクが深く、しかも見えにくくなってしまう可能性が高いです。

孤立を深めることでメンタルの不調をきたしている方は多く、自殺者数の増加なども気がかりです。

また、要請に従っていただけるのかという点も不安要素です。東京都では、すでに知事からのお願いという形で、酒類の提供を伴う飲食店の時短要請や不要不急の外出自粛を呼び掛けていますが、人流は減っていないというのが現実です。

4月には、まだなんとか耐えられるという企業が多かったのと、未知のウイルスの恐怖心によって、緊急事態宣言が効果を上げたのは紛れもない事実ですが、社会や人間心理の変化を組み込まずに対策を講じても、同じような効果を期待できません。

2.アメかムチか

そうした現状において、対策の効果を高めるために取りうる選択肢としては、充分な協力金や給付金(アメ)か、海外で見られるような罰則や罰金(ムチ)か、あるいは、アプリ等を用いて行動履歴を厳しく監視するようなやり方か、いずれにしても、特措法を改正する必要がありそうですが、議論が長引くことが予想されます。

3.東京、大阪、北海道の”ちがい”

もう一つ、私が注目しているのが、この2か月間の感染拡大期の北海道、大阪、東京の対策とその人流削減効果、感染拡大状況です。

東京では、広く全域に同じように22時以降の営業自粛を依頼し、1事業者あたりの協力金を用意した。大阪・北海道では、エリア(○○市、△△地区など)を限定し、1店舗あたりの協力金を用意した。結果として、大阪と北海道では人の流れが抑制され、東京では変化していません。

そして、肝心の感染拡大状況はこちらです。

まず、東京

つづいて、大阪

さいごに、北海道

 

大阪、北海道も決して楽観視できる状況ではありませんが、東京だけが全く状況が違うことが分かると思います。

この”ちがい”が生じた要因にこそ、今向き合うべき課題があると私は考えています。

4.いま必要なのは「理解と納得」

どのような対策をとるにしても、人流を減らす(人と人との接触機会を減らす)ための行動変容が起こらなければ、その対策には意味がない(誤りだった)となるわけですから、現在の東京都の対策は誤りかもしれないと認めるところから全てが始まります。

では、どこに誤りの可能性があったかというと、先ほども述べた社会と人間心理の変化を見誤ったことだと思います。

以前ブログで書きましたが、4月時点では休業要請と協力金には、小池知事得意の「大義と共感」が本領発揮し、行動変容を呼び起こしました。

 

しかし、現在は、毎度同じことをくり返し、キャッチフレーズもピンとこず、オオカミ少年状態になりつつあると感じます。さらには、対策の科学的根拠が示されず、全域を等しく扱うことで結果的には不公平感を助長させています。

どの対策をとるにせよ、本当はしたくないことをするわけですから、周知→啓発→理解→納得→受容→行動変容という流れが必要なのだと思いますが、東京都の取組は、周知と啓発に特化していて、その後の理解と納得を得る部分に力がそそがれていません。

例えば、協力金一つとっても、1事業者100万円では、個人店には多すぎ、チェーン店には少なすぎる(10店舗あれば1店舗10万円の計算になる)状況です。都心と多摩地域では賃料などの固定費もまったく異なる状況なのになぜ?ということになります。

さらに、飲食店はまだ協力金があるからいいけれど、関係事業者はどうなるの?という声も聞こえてきます。

また、先日中小企業団体にテレワークの要請を行った際に、「テレワークを行わない企業のほとんどが業務が適していないという理由をあげている。都にはそれを乗り越える方策を考えてほしい。」と返される始末。

では、春先に何十億もかけて10/10補助(つまり全額都が出す)としたのは何の意味があったの!?と怒りすらわいてきます。

こうしたことを繰り返しているから、東京都は私たち都民のことを本気で考えてくれていないのでは・・・という不信感に繋がっていることも街を歩けば聞こえてきます。

5.奮起せよ、首都公務員!

話は元に戻りますが、国に対して緊急事態宣言を要請した目的は何なのでしょうか。

つまり、効果的と思われる対策があって、法律や制度の不備で対策をとることができないという状況にあって、かつ、緊急事態宣言の発出によって、それが解決されるという状況なのかということです。

もちろん、緊急事態宣言が発出されれば、知事の権限が強くなったり、法的な根拠に基づいて要請を行うことはできますが、どのような要請を行うのか、実際に都民に行動を起こしてもらえるのか、それが鮮明になっていなければなりません。

欧米のようなロックダウンのできない日本の特措法では、緊急事態宣言自体は解決策とはならないのです。

今回の1都3県知事による国への要請については、政局や政治的なパフォーマンスだという声も聞こえてきます。

※事実かどうか分かりませんが、このような声が聞こえてくること自体が、社会情勢を反映していると思います。

1都3県といえば、小池都知事、黒岩神奈川県知事、森田千葉県知事、大野埼玉県知事ですが、大野知事以外は、お世辞にも実務に長けた人とは言い難いと思います。

緊急事態宣言を要請する前に、要請すべきことについてはきちんと整理がなされているのか。その実務を行うべき行政職員、特に首都公務員とも呼ばれ、全国の地方自治体のリーダーを自負してきた都庁はきちんと機能しているのか。

その職責を思い返し、今やるべきことに一丸となって注力していただきたいと思う次第です。

緊急事態宣言が発出されるとできることは、外出自粛や施設利用停止(休業、時短)の要請だけでなく、臨時の医療施設をつくるための土地や建物利用、医薬品などの必要物資の保管もあります。

感染拡大防止だけを考えるなら、人の流れを止めるだけで良いかもしれませんが、感染拡大防止と社会経済活動の両立を考えるなら、人の流れを止めるポイントを見極めつつ、受け入れられるだけの医療提供体制を確保することが必要だということが特措法でできることからも見えてきます。

どうか、感染拡大→時短要請という短絡的な思考に陥ることなく、また、医師会等の聖域を恐れることなく、今すべき対策を考え抜いて、議会に出してほしいと思います。

本来であれば、各種データをもとに、私たち議員も建設的な提案・議論を重ねたいところですが、残念ながら、私たちが有するデータや情報は限られているのも事実であり、限られた議論しかできないことは忸怩たる思いです。

明日より都庁も通常モードに戻りますので、首都公務員の奮起を願いつつ、私たちも提言をまとめて提出したいと思います。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2021年1月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。

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