対中姿勢軟化の表れ?バイデンが捨てた“ある言葉” --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

米国の次期大統領となることが確実なジョセフ・バイデン前副大統領が、中国に対する姿勢を軟化させる兆しを見せ始めた。

インドや東南アジアの外交専門家たちは、米国の次期政権が中国への融和策に傾くおそれがあるとして懸念を表明している。

その兆しは、バイデン氏が日本などアジア諸国の首脳との一連の電話会談で、インド太平洋のあり方についてトランプ政権時代の「自由で開かれた」という政策目標を排し、「安全で繁栄した」との表現に変えたことに表れているという。

トランプが繰り返した「自由で開かれたインド太平洋」という標語

トランプ政権は中国の野心的な対外膨張を正面から抑止する政策を明確にし、中国抑制の主舞台をそれまでのアジア太平洋地域からインド太平洋地域へと広げてきた。対中政策の核心もインド太平洋での中国との対決におき、昨年(2020年)6月に公表した「インド太平洋戦略」では中国を事実上の仮想敵とみなす方針を明示してきた。

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