特措法改正に盛り込むべき6つのポイント

6日に引き続き、特措法改正をめぐって新型コロナウイルス対策に関する政府・与野党連絡協議会が8日、開催されました。

その場で6日申し入れた内容に対する回答が示されましたが、われわれ国民民主党の提案もかなり前向きに採用していただいており、政府のみなさんの尽力に感謝をしたいと思います。

(政府からの回答全文はこちら

それに先立ち、今朝ほど国民民主党新型コロナウイルス対策本部を開催し、特措法改正に盛り込むべき事項を同僚議員と議論しました。

今回、休業要請に応じない飲食店への罰則に注目が集まっていますが、「北風」である罰則と、「太陽」である万全の補償はセットでやるべきと昨年4月から訴えています

これまでの休業要請に対する協力金(実質的には補償)は、事業者の規模に関係なく支給金額が一律だったため、支店を多く持つようなカラオケ店や賃料が高い地域に立地している店舗にとっては「焼け石に水」となっていました。

今回の特措法改正で、これまで法的根拠のなかった協力金にも、国が地方自治体のコロナ対策を支援するために「必要な財政上の措置」をすることとして一定の位置づけが与えられるようですが、事業者の売上金額や従業員数・店舗数、要請に応じた期間などに応じて柔軟かつ弾力的な補償をするよう引き続き強く求めていきます。

党としてとりまとめた政府への申し入れは以下のとおりです。

令和3年1月8日

内閣総理大臣

菅 義偉 殿

国民民主党

特措法改正に盛り込むべき事項

■事業規模等に応じた万全の「補償」

休業の要請等に応じた事業者に都道府県が支給する協力金等を補うための「国による財政上の措置」について、次のような考慮事項を明記すること。

国による財政上の措置は、都道府県が、事業者に対して行った要請等の内容、事業者が要請等に応じた時期及び期間、要請等に応じた事業者の事業規模(売上金額、従業員数、店舗数等)その他の事情に応じて給付金を支給することができるよう、柔軟かつ弾力的なものとすること。

■緊急事態宣言の国会の事前承認

緊急時においては「内閣の行政裁量の強化」と「国会による民主的統制の強化」の両輪が欠かせないが、今後の特措法改正により一般市民に対する罰則(行政罰含む)を付加するのであれば、民主的統制の水準も並行して高める必要がある。今回の緊急事態宣言再発令においては、総理大臣による国会報告すら実行されていないが、改正特措法には、緊急事態宣言には原則として国会の事前承認を求め、例外的に事後承認を認めるとともに、宣言の延長には国会の事前承認を必要とすることを明記すること。

■緊急事態非宣言下での私権制限は抑制的に

緊急事態宣言に至らない段階に対する罰則の創設には極めて慎重であるべき。例えば、非宣言下において営業時間の短縮命令を拒否したり、立入検査を拒否したりする事業者であっても、安易に罰則を課すべきではないと考える。

■療養施設(ホテル)の法定と入所の義務化

限られた医療資源を有効に活用するため、軽症者や無症状者向けの宿泊療養施設を法律に明確に位置付け、必要施設数や配置人員の確保を都道府県等に義務付けるとともに、国が必要な費用を支弁すること。また、自宅療養とあわせて入所対象者に療養を義務付ける規定を設け、感染拡大を招く療養拒否や無断外出を防止すること。

■差別の防止

国や地方公共団体の責務として、新型コロナ患者及び元患者であることを理由に不当に差別されることのないよう必要な啓発活動等を行うことを明記すること。 

■「みなし」規定で私権制限をすべきではない

昨年3月の法改正により、新型コロナを感染症法上の「指定感染症」に指定した上で、新型インフルエンザ等と暫定的に「みなす」ことで特措法を適用しているが、そもそも指定感染症は特措法の適用対象ではない。前回改正から約10ヶ月が経過し、新型コロナの特徴がある程度わかってきた中で、罰則など新たな私権制限を導入するのであれば、暫定的な「みなし」ではなく、正面から新型コロナに適した「新たなカテゴリー」を特措法及び感染症法に設けること。「みなし」によって私権制限を行うような法的に不安定な状態は解消すべきである。

以上


編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2021年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください