カタルーニャ独立過激派がカタラン語を話せない飲食店経営者に相次いで嫌がらせ

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カタルーニャはこの5-6年前から独立への機運が高まった。そのピークに達したのが2017年10月に実施された独立を問う住民投票であった。カタルーニャの独立を主張する複数の過激派が誕生している。

過激派がシンボルのひとつにしているのが「33」という数字である。ハイルヒットラーのイニシャルH.HのHはアルファベットの8番目にあたることから「88」というのがヒトラーを礼賛するシンボルであった。それを真似たのが、カタルーニャの「33」である。カタルーニャ・カタラナ(Catalunya Catalana)C.Cがアルファベットの3番目ということで「33」という数字がカタルーニャの独立を主張するシンボルとなっている。

昨年12月11日、この33がバルセロナにあるイタリアレストラン「Marinella」の入口の左壁面に書かれていた。その下にはカタラン語で「カタラン語を喋るか、または、他の地へ移住するかだ」と落書きされている。

この出来事はカタルーニャ問題がスペインで依然注目を引くテーマである。そのこともあって、スペインの主要紙そしてカタルーニャの代表紙が一斉にこの事件を報じた。

問題は、昨年12月4日に同店内で起きたことに起因している。このレストランに時々注文をする男性が、料理を取りに店に現れた。その時、なぜか、その男性はカタラン語(カタルーニャ語)で対応して欲しいと要求した。彼がそのような要求をしたことはこれまで一度もなかった。そのレストランの経営者はイタリア人女性で、「カタラン語も覚えたいけれど、今はカスティーリャ語(スペイン語)を覚えている。それでカスティーリャ語を使っている」と答えた。そして、彼女はその男性に「カタラン語をゆっくり喋ってもらえれば理解できる」と答え、自分がカタラン語話者になんとか対応できると回答した。ところが、その男性はなぜか侮辱されたように感じた。「お客をもてなすのにカタラン語で喋る義務がある。それをしないのはカタルーニャ法に背くものだ」と憤慨して彼女を非難したのである。(参考『EL PAIS』)

カタルーニャ法というのは、商店はカタラン語とカスティーリャ語の両言語で対応する義務があるという法律だ。また、カタラン語での説明書ももたなくてはならない。例えば、レストランだとカタラン語で書かれたメニューが用意されなくてはならない。

その男性が執拗にカタラン語の使用を要求したのを見て、そこで食事をしていた客の一人が声を張り上げないように要求した。それに答えて、その男性は「誰もお前を呼んではいない。お前とは関係ない」と言い返した。オーナー女性は、他の客まで巻き込ませたくないと判断し、その男性を外に追い出した。それに対し、その男性は彼女を脅迫し、注文した料理を受け取らなかった。彼女やそこで食事をしていた客の配慮が不足していたからだという。

オーナー女性が取材で語ったのは、その男性は何度か注文をして来た客だということだ。ところが、なぜかその日、その男性はカタラン語で対応されなかたことに憤慨したというのだ。(参考『Libertad Digital』)

それから、彼女にとって苦痛の日々が始まる。その男性は憤慨をツイートで爆発させた。彼女そして彼女の店を批判することを始めたのである。それがフォロワーに伝わり、電話やEメールで偽りの注文や予約などが殺到した。それが1週間続いたのである。レストランの壁に落書きもされるという事態にまで発展した。

彼女は取材に答えて、彼女の店の商売に3家族が頼っていることや、バルセロナ市内にマンションを購入したことなども語った。そして、このような事態になるとわかっていれば、2年前にこの店を開くようなこともなかったと答えた。

彼女が経験したようなことは、バルセロナにあるピザ・レストランでもあった。カタラン語のメニューを用意していなかったという理由でボイコットを受けた。筆者はこの出来事をテレビ知った。

ジロナ県の都市ブラネスにあるレストランでは、独立派の黄色のリボンを店の入口につけていたのをオーナーが外したという理由で、独立派がその店の前に立って客が中に入れないようにした。

またバルセロナのあるパン屋の店員が、ラテンアメリカ出身者でカタラン語で回答しなかったというのが理由で、その店の前の通りを遮断するという出来事もあった。

電子紙『Libertad Digital』によると、過激派のこれらの違法行為に対し、カタルーニャ警察が彼らに罰金を科した例がないという。

スペイン紙『ABC 』が先述のオーナー女性にその後の経過を取材した。カタルーニャの多くの住民から支援を受けているという。勿論、去って行った客もいるが、新規にたくさんの客ができたという。その中にはカタルーニャ州議会のシウダダノスのリーダーカルロス・カリソッサ氏、カタルーニャ社会党のリーダーミケル・イセタ氏や同党のテレサ・クニリェラ氏もいたという。