リクルートHDが社長交代を発表した。副社長だった出木場氏が就任。峰岸氏は代表権のある会長兼取締役会議長となる。
同社からのリリースはこちら。
ちなみに、あまりニュースにならなかったが、同社は4月に組織を再編する。国内の主要事業会社をまとめるというわけだ。これも覚えておこう。
昨日はこの件で関係者とチャットすることが多く。まるで同社の広報かのように、説明したり(笑)。
この次期社長人事は想定の範囲内すぎて。関係者は誰も驚かないだろう。私も、基本、異論はない。
ただ、この人事をめぐるリクルート関係者以外からの反応が興味深かった。同社および日本の企業社会の現実を目の当たりにした。「45歳!若い!すごいですね!」ということを、リクルート関係者以外の方からよく言われた。
たしかに、日本の上場企業なみ、しかも国内の時価総額トップ20以内の企業なみから言うと相当若い。ただ、歴代リクルート社長は創業者以外、少なくともこの3代は40代半ばで就任している。2003年、2012年の社長交代時も「さすが、リクルート、若い」という評判をきいたことを覚えている。
相変わらず男性である。歴代リクルート社長で女性なのは河野(こうの)栄子氏だけだ。取締役、執行役員、事業会社の経営陣には女性はいる。ただ、十分だとは言えない。いまやリクルートは女性活躍企業、働き方改革企業、ダイバーシティー推進企業だと同社が自ら打ち出しているし、メディアでもそう取り上げられているが、実態をどうみるべきだろう。
90年代から続く「(日本の世の中)よりは先に進んでいるが、世界の先端からは相当遅い」というリクルート病をみた。さらに、それよりも遅い日本企業の実態を。もちろん、若ければいいわけはないし、男性だ女性だという議論自体がなくなるくらいに、女性の経営陣が普通にいる社会をめざしたいのだけれども。
なぜ、リクルートですら経営陣に女性が少ないのか?社長も若いといっても40代なのか?それでも世間より進んでいると言われるのか?綺麗事を抜きにして、立ち止まって考えたい。
世の中のダイバーシティー推進、女性活躍の矛盾、現実がここにある。そして、メディアや論者が、広報から案内されるがままの事例をとりあげ、煽ることの功罪も。
昔話をするのはダサいが・・・。1年半、出木場氏と同じ部署で働いたが、まあ、すごかった。もう基礎スキルはもちろん、視点、発想、構想、成し遂げる力、カリスマ性が違う。ビッグデータという言葉がまだ世の中に広がる5~10年前から、彼は特別に数台のPCを使い、エクセル、アクセスベースでデータを解析し。本当に売れる宿とは何かなどを明らかにしていた。
一方、人間くさい部分や、ユニークすぎる部分もあり。20代のうちに何度も表彰されるくらい優秀なのに、なぜ漢字が書くのが苦手なのかという点をいじられていた。そのネタを社内報に売り込んだのは私だ。
さて、彼は、リクルートは何を目指すのか。いやリリース文にも彼の声明にもある程度は書かれている。普通に考えて海外、HRのグローバルリーダー、IT推進という話にはなるだろう。個人的には国内事業をどうするかが気になっている。HR領域と。江副浩正モデルからますます、どう抜け出るかも。新しい、面白い会社であってほしい。
そうそう、この本を読んでね。思ったほど売れずに紙は入手困難だが。電子版はまだある。
編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2021年1月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。