菅政権の腰の定まらない対策のせいで、コロナ感染拡大は収まらない。医療崩壊、保健所機能の逼迫が叫ばれる中、新型コロナウイルスワクチン接種の準備も早急に進めなければならない。
国は全国に1万か所の「基本型接種施設」を設け、そこから各医療施設にワクチンを配分する計画という。ファイザー社製のワクチンは、氷点下75℃で保管しなければならず、超低温冷凍庫の配備が必要だ。接種は期間をあけ、1人2回。地域に根差した診療所には、様々な患者が訪れる。こうした中で滞りなく行わなければならないとなると、現場としても右から左へという簡単な作業ではないだろう。
まずは、医療従事者(約8,400人)を最優先し、次に65歳以上の高齢者(約185,000人)という順番で、一般区民は早くて3月下旬から4月にスタートすることになる見通しという。世田谷区でも、全区民への接種券の郵送から始まって、接種後の相談体制も組まなければならず、事は容易ではない。ファイザー社以外の製品には、超低温保存を必要としないものもあるとのことで、この普及次第では接種のスピードを上げられるかもしれない。期待したいところだ。
とはいえ、92万の人口を擁する世田谷区が、希望する区民全員にスムーズに接種できる体制を一日でも早く築くことは当然だ。しかし、保坂区長は、国からの情報提供が十分でないことに苦言を呈している。
ワクチン接種にあたって、接種体制の計画案を何案かつくっている。病院と地域のクリニック、集団接種会場の組み合わせだが、肝心の情報が届かない。ファイザーのワクチンは960単位でやってくる。国から届けられるマイナス75度のディープフリーザーの数は限られていて、開閉の回数にも制限がある。
— 保坂展人 (@hosakanobuto) January 17, 2021
区によると、コロナ対策本部に住民接種班、保健所に接種担当課長を設置し、目下、準備に力を傾注しているとのことだが、他自治体では国の差配を待つまでもなく、冷凍庫を購入し独自に備えているところもあると聞く。昨年の特別定額給付金の遅配に表れたように、行政の不作為による住民サービスの低下は許されない。
とくに世田谷区は人口の多さを理由にしがちだが、先行している外国の事例もある。国に文句を言うばかりでなく、率先して情報収集することは可能だ。先手先手の構えこそ肝要である。これこそ区長の腕の見せ所だろう。素晴らしい施策であれば、全力でバックアップしたい。