菅義偉首相は18日、2月中を見込む新型コロナウイルスのワクチン接種に向けた調整を、河野太郎行政・規制改革大臣に担当させることを決めた。河野氏がワクチン担当大臣を兼務するということになり、ツイッターには「ワクチン担当大臣」がトレンド入りもした。
ワクチン接種にまで担当大臣が置かれるとは驚いた。ワクチン接種の仕事は、厚生労働省(大臣)の仕事ではないのか。
近年、「1億総活躍担当大臣」、「サイバーセキュリティー担当大臣」、「少子化担当大臣」などなど、正直何をやるのかよく分からない、本当に成果があがっているのかと首を傾げざるを得ない大臣ポストが新設されてきた。ワクチン担当大臣はそうならないようにくれぐれも注意してもらいたい。厚生労働省(大臣)とワクチン担当大臣の意見がぶつかり、覇権争いが生じ、ワクチン接種が円滑にいかないという事態があっては困る。
それにしても、なぜ、菅首相は、河野氏をワクチン担当大臣に任命したのだろう。田村憲久厚生相ではいけなかったのだろうか。菅首相はその理由を「規制改革担当大臣として、それぞれ役所にわたる問題について解決してきた」からだという。要は、発信力や突破力があるということだろう。
しかし、私はそれだけではないと思う。菅首相は河野氏の力を認めている、つまりお気に入りの一人。最新の毎日新聞の世論調査では「首相にふさわしい人」として河野氏がトップに躍り出た。支持率が低迷する菅首相の、河野氏の「国民的人気」にあやかりたいという思いが見え隠れする。
菅首相は記者団に「安全で有効なワクチンがお届けできるよう全力で取り組みたい」と話し、河野氏も「なるべく早く、一人でも多くの国民に接種できるようにしなければいけない」と語った。
ワクチン接種を、政局や政権内の権力闘争の道具にしてはいけない。「船頭多くして船山に上る」が私の杞憂に終われば良いのだが・・・。