枝野代表
「withコロナ」ではなく「zeroコロナ」への転換を提案します。
まずは徹底した感染の封じ込めに取り組み、その間は十分な補償と給付で支える。
感染を封じ込めた後に、旅行でも会食でもイベントでも制約なく安心して再開する。
結果的に経済を最も早く立ち直らせることにつながります。 pic.twitter.com/5ydVTN9cdT— 立憲民主党 国会情報+災害対策 (@cdp_kokkai) January 20, 2021
立憲民主党は「ゼロコロナ」をめざす方針だそうです。立民が政権をとる可能性はゼロなので大した意味はないのですが、世の中にはいまだに「コロナを封じ込めろ」とか「ウイルスをゼロにしたら経済が回る」とかいう人がいるので、ちょっとまじめに考えてみましょう。
Q.1 新型コロナウイルスはゼロにできますか?
できません。地球上でゼロになったウイルスは天然痘だけです。ポリオもほぼ絶滅したといわれていますが、ゼロではありません。コロナのような風邪のウイルスは地球上に数億人の感染者がいるので、それをゼロにすることは不可能です。
Q.2 コロナ患者はゼロにできるんですか?
ワクチンができればゼロにできるかもしれませんが、ワクチンを国民の大多数が打たないといけない。ワクチンのあるインフルエンザでもゼロにはなっていないので無理でしょう。「国民全員PCR検査して隔離しろ」という人もいますが、この程度の病気で1億2000万人以上を毎週、検査するわけにはいかない。
Q.3 コロナの死者はゼロにできますか?
他の感染症とあわせると、死者はゼロどころか、2019年に比べてマイナスになっています。このように平年と比べた死者の増加を超過死亡といい、WHO(世界保健機構)が世界各国の感染症被害を比較するとき使う指標です。
アメリカでは約37万人の超過死亡のうち29万人がコロナで死んだと推定され、イギリスやフランスでは超過死亡のほぼ全員がコロナの死者と推定されていますが、日本は超過死亡がマイナス2万人。つまり平年より死者が少なかったのです。
Q.4 コロナをゼロにする必要があるんでしょうか?
ありません。エボラ出血熱のようにかかったら半分以上が死ぬ危険な感染症とは違い、コロナの致死率は日本では1%程度で、それほどこわい病気ではありません。インフルの0.1%よりこわいですが、感染率はインフルがコロナの数十倍なので、掛け算するとリスクは同じぐらいでしょう。
Q.5 ヨーロッパのようにロックダウンすればゼロにできるという人もいますが?
ロックダウン(外出禁止令)は日本の法律では出せないし、出す必要もありません。東京では図のようにコロナの新規陽性者数(発症日ベース)は1月4日ごろピークアウトしたと思われるので、これから外出禁止などする必要はありません。
Q.6 では何を目標にすればいいんでしょうか?
感染症対策の目的は、感染をゼロにすることではありません。風邪を引いてなおるのは問題ないのです。大事なのは病院の設備が足りなくて救える命が救えない状況にならないようにすることです。そのためには2月の専門家会議で示されたように、流行のピークを下げて
重症患者数<重症ベッド数
とすることが目標です。たとえば東京のコロナ重症患者は160人ですが、重症ベッド(ICU)は全部で約2000あるので、10倍以上の余裕があります。
Q.7 ではなぜ「医療崩壊」などといわれるのですか?
東京都が確保している重症ベッドは250しかないので、医療現場が逼迫しているのです。これは病院の8割が民間病院で、都がベッドの使用を決められないためです。このため都は都立広尾病院など3つの病院をコロナ専門病院とし、コロナ以外の患者を民間病院に転院させる方針を出しました。このように設備や人材を有効利用すれば、医療が崩壊することはありえない。
Q.8 枝野さんは「ウィズコロナ」はだめだといってますが?
これはコロナとの共存という意味で、あまり気持ちよくないですが、私たちは多くのウイルスと共存しています。みなさんの体内にも何兆個もウイルスがいますが、無害なので気にしないでしょう。コロナも日本ではその程度の病気なので、共存すればいいのです。
Q.9 コロナをゼロにしないと経済は回復しないんでしょうか?
超過死亡はマイナスなので、日本のコロナ対策は世界一成功したといっていいでしょう。それなのに多くの人が「政府のコロナ対策は生ぬるい」とか「緊急事態宣言が遅すぎた」と思っているのは、毎日マスコミが恐怖をあおるからです。そういうあおりをやめれば経済は回復します。飲食店よりワイドショーを休業させたほうがいいのではないでしょうか。
こういう状況は、ヨーロッパやアメリカとはちがいます。世界のコロナ超過死亡は去年200万人と推定され、第2次大戦以来といわれていますが、上の図でもわかるように、日本を含む東アジアでは、死者が減った(超過死亡がマイナス)国が9ヶ国あります。これは免疫機能などのファクターXがあるものと思われます。その正体は不明ですが、日本がヨーロッパのまねをする必要はないのです。