日本経済新聞が、日経平均の最高値だった1989年末と直近の日本株の個別銘柄の価格の比較を行っています(図表も同紙から)。
この31年間で、株価が10倍以上に上昇した銘柄は、わずか26銘柄しかありません。この間ずっと上場を維持した株式銘柄は、新興市場や地方取引所も合わせて1368銘柄ですから、26銘柄は全体のわずか2%に過ぎません。
後から考えれば簡単なように見えますが、この2%の銘柄を1989年に選び出す事は、ほぼ不可能だと思います。
逆に、30年以上持ち続けても、報われなかった銘柄の方が、多数存在しています。
同じ1368銘柄のうち、半分以上の64.3%(880銘柄)は、配当込みで元本割れになっています。つまり、ランダムに銘柄を選べば、半分以上の確率で31年間のリターンがマイナスになっていたということです。
しかも、その中で元本の半分未満まで値下がりしたのが592銘柄(43.3%)で、更にこの中で3分の1未満になった銘柄は433銘柄(31.7%)、5分の1未満になった銘柄は276銘柄(20.2%)、何と10分の1未満になったのが120銘柄(8.8%)もあるのです。
株価が10倍になる銘柄のことを「テンバガー」と呼び、このような銘柄を探す個人投資家もいるようですが、確率的に考えれば、砂浜で砂金を探すような行為だということがわかるでしょう。
やはりインデックス投資によって満遍なく幅広い銘柄に資金を投入する方法が、個別銘柄選択よりも「ベター」な方法だと言うことがわかるはずです。
個別銘柄選択投資をして、成果が出せる人は、特別な才能を持った人か、単にたまたまラッキーだった人しかいません(大半は後者のはずです)。
自分が、その中に入れると思うのであれば、チャレンジしてみれば良いと思います。しかし、8割以上の人は結果を出せずに終わってしまうのが現実だと思います。
資産運用で成功するには、無鉄砲にホームランを狙いにいくのではなく、確率論に基づく現実的な選択をする必要があります。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年1月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。