『世界の学校 教育制度から日常の学校風景まで』(二宮皓編著、学事出版、2014年)を拝読。
欧米だけではなく、韓国・中国・東南アジア・アフリカ・大洋州まで網羅する。
日本とのちがいに、へぇと思うことがたくさんあるが、主なものをピックアップすると、
○フランスの学校では、スポーツを学ぶという教育課程がないため、運動場もない。知育は学校で、徳育(しつけ)は家庭と教会と区分けが厳格にされている。
○イギリスの学校には、宗教等をのぞいて国の教育課程基準がなく、教科書も自由発行・自由採択、必修科目という概念もない。楽しい課外活動を豊富に提供することが学校の重要な役割。
○ドイツ、イギリス、アメリカなど多くの学校では、職員室は先生の休息の場。生徒の出入りは禁止。メキシコの学校には職員室さえないので、外の空間を利用して、先生がおしゃべりをしながら休息。
○ドイツの学校には、制服や給食がない。
○フランスでは、小学校1年生から容赦なく落第。最終学年では通常の14歳より年齢が高い者が約4割に達する。
○フィンランドやアメリカ、ロシアなどでは、教科書は無償貸与。上の学年の教科書でも学ぶことができる。
○メキシコの義務教育は15年間。約2割の生徒はテレビ放送を通じて授業を受ける。
○ポーランドでは、通知表を受け取ると、1年間のお礼の気持ちを込めて、教員に手作りのプレゼントを渡す。
○中国では、宿題はすべて学校で済ませてから帰宅させる制度。家に帰るのは17時頃。
○中国では、高級教師、1級教師、2級教師、3級教師の4階級の職級に分けて採用。最上級の高級教師には、他に教師に対する指導能力が求められる。中学校で4.5%程度、小学校で1.5%程度。
○中国では、激しい受験競争を背景に、受験科目の授業時数を増やしたり、「子供たちのカバンの重さ」が新聞等でたびたび話題になる。
○ベトナムでは、2か月に1回大掃除。逆に、イギリスでは生徒も先生も掃除しない。
○ベトナムでは、飛び級及び短縮カリキュラムを受けること、規定年齢を上回る年齢で履修することなどの権利が認められている。
○シンガポールでは、遅刻やカンニングなどに対しては低額や教室外謹慎のほか、むち打ちなどの厳しい処罰が課される。
○ケニアは、激しい学歴社会で、受験競争が厳しい。大学は学歴社会を逆手にとって、高額な授業料を課しながら、キャンパスに入りきらないぐらいの学生を受け入れている。
ちなみに、スクールの語源は、古代ギリシャ語のスコレー(暇の家)。
世界と比べると日本の教育は生徒も先生も詰め込み過ぎなのかもしれません。
編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2021年1月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。