東京の都心の居住用不動産が、新型コロナウィルス感染拡大の中でも価格上昇を続けていることが、データから明らかになってきました(写真は晴海フラッグ)。
日本経済新聞によれば、東京カンテイが発表した2020年12月の中古マンション平均希望売り出し価格(70平方メートル換算)は、都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)で、前月比1.1%上昇し、過去最高となりました。こちらは実需物件の傾向を示しています。
また、投資用物件についても、不動産情報サイトの楽待のデータによると、2020年10月から12月に新規掲載した物件の平均値は、前四半期と比べ5%上昇しました。こちらも価格は過去最高となっています。
このような不動産価格の上昇は、日本だけにとどまりません。アメリカの不動産のネット仲介会社レッドフィンによると、2021年1月3日の住宅価格の中央値は、31万9000ドルと1年前と比べて13%の大幅上昇です。
世界的な不動産価格上昇の背景にあるのは、言うまでもなく金融緩和による金利低下です。
新型コロナウィルス感染拡大によって、不動産売買が停滞し、価格は下落すると予想する人が多かった中、実際の展開は間逆になりました。
流通市場に売り物件が減り、実需で購入したい人や投資用の物件を探す人が増え、需給が逼迫し価格が上昇しているのです。
このような傾向は、世界的な金融緩和が継続する限り、あまり変化しないと思います。逆に、金融緩和が終わると市場が判断すれば、不動産価格は調整する可能性が高いでしょう。
居住用不動産は実需・投資用共に堅調に推移していますが、同じ不動産でもホテルコンドミニアムのような宿泊物件やショッピングモールのような商業物件、オフィスビルなどは居住用物件とは異なる動きをしています。また、マンハッタンのように中心部の物件が居住用でも値下がりをするところもあり、複雑な価格変動が起こっています。
「不動産は上がる」「不動産は下がる」といった評論家の雑駁(ざっぱく)なコメントを聞いているだけでは、不動産マーケットの細かい動きをフォローできず、投資の成果につなげることはできません。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年1月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。