土産用お菓子を、ご当地以外でやたら見かけるようになった深刻な理由

2021年02月06日 06:00

黒坂岳央(くろさか たけを)です。 

新型コロナの感染拡大により、様々なビジネスやライフスタイル、文化のあり方が見直されている。そんな中、「ご当地の土産用お菓子」を取り巻く状況に変化が訪れている。

kazuhide isoe/iStock

デイリー新潮が掲載した記事によると、これまでご当地でしか手に入れられなかったはずの「お土産用お菓子」が全国に進出しているという。消費者としては、「これまで旅行先でしか入手できなかったお菓子を、手軽に手に入られる」と、利便性をありがたく感じるかもしれない。だが、これが長期化することで、お土産用お菓子の存在意義が覆されかねない。

新型コロナで旅行土産の売上に大打撃

デイリー新潮の記事によると、知名度の高いお土産用お菓子が新型コロナの影響により、深刻な売上低迷の憂き目にあっているという。

“先月中旬、静岡・浜松の定番お土産「うなぎパイ」(春華堂)の減産が報じられた。当初は前年比で5割減としていたが、のちに4割減へと“下方修正”。工場や直営店舗の営業日を減らし対応するという。

「うなぎパイ」と同様、北海道の「白い恋人」(石屋製菓)も、昨年は一時的に生産ラインを停止。現在の売り上げは前年同期の半分に落ち込んでいる。国内の需要減を受けて、現在は、同店初の海外出店を計画中であることも報じられた。

引用元:デイリー新潮「白い恋人、萩の月、東京ばな奈…コロナで苦境に陥る「お土産」お菓子の生き残り策は?」

北海道の白い恋人は、お土産用お菓子における「王者」に君臨する存在感がある。

白い恋人の生産工場である「白い恋人パーク」は観光地化しており、工場見学や記念写真スポットが用意されている。その他、「オリジナルの白い恋人を手作りできる」など独自性を打ち出していることで、旅行ガイドブックでよく取り上げられる人気スポットだ。

 これまでの40年間、「道外不出」として、成田空港などごく限られた場所以外では、北海道を訪れたものにしか手に入らない存在である「白い恋人」が、東京・北千住のルミネでの期間限定販売に踏み切ったのだ。

「もらう」ことが前提のお土産お菓子

日本人にとってのお土産とは、旅行後の余韻に浸りながら自分自身のために買うというより、誰かにあげるために買う意味合いとして考える人もいるだろう。正直なところ、お土産用お菓子は一般的なお菓子に比べて割高であり、販売価格に見合うほどおいしいものはそれほど多くない。だが、白い恋人を始めとした一部の有名お菓子は、旅行土産用のお菓子としてはとても味が良いことで喜ばれる。

筆者も過去に北海道旅行に行くと周囲に告げたら、「お土産は白い恋人で」「六花亭のバターサンドよろしく」と返された経験がある。逆に、旅行に行ってきたという同僚から受け取るケースもあった。

多くの人にとってお土産お菓子とは、もらって食べることでその存在を認知するものなのである。つまり、旅行が閉ざされれば、お土産を食べる機会もなくなるという構図になっているのだ。

お土産用お菓子がコモディティ化した先にあるもの

あらゆる商品やサービスがコモディティ化する現代において、「北海道の食品」は特別な存在を維持してきたと感じる。

白い恋人が人気を博したことで、全国の他の地域で「亜種」が大量に生まれた。パッケージデザインや、お土産の名称、そしてお菓子そのものも本物と見まごうものとなっている。日本全国のお土産のデータベースメディアOMIYA!の記事によると、「○○の恋人」はもはや全国制覇をする勢いで存在することがわかった。それでも、これまでは「北海道みやげといえば、白い恋人」という地位は揺るがなかった。これは白い恋人を販売する石屋製菓の卓越したマーケティング活動と、北海道という肥沃な土地に対する、特別なブランド価値を感じる人も少なくなかっただろう。

だが、そんな白い恋人は厳しい状況に置かれている。

 官報決算データベースによると、2020年9月決算は前年比で純利益「95.35%減」という壊滅的打撃を受けた。期間限定での東京での販売は、会社の存続の可能性を模索する一手だろう。現在の旅行そのものが困難である状況が長期化すれば、会社の存続をかけ、販路を拡大する必要性に迫られることになる。そうなると、「北海道ブランド」のコモディティ化の可能性もありえる。


先日、筆者がよく行く、地元熊本のスーパーでも「北海道フェア」をやっていた。白い恋人はなかったが、北海道土産を多数販売していた。誰もが知る有名なお菓子も置いていた。これが常態化すると「北海道フェア」の概念がなくなってしまうことになりかねない。

新型コロナがもたらした社会混沌の正常化を願うのは、全世界の人類の総意だが、とりわけ旅行土産の関連企業にとっては悲願だろう。企業が売上減とコモディティ化の板挟みに悩みながら、生き残りの活路を模索するのはこれからである。

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