東京2020大会でジェンダー平等をレガシーに!

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

今日はオリンピックパラリンピック特別委員会が開かれ、大会開催経費V5や交通輸送計画について議論が行われました。

Ryosei Watanabe/iStock

1.本当に開催できるの?

まず皆さん気になるのは、都議会は大会開催についてどう考えているのか、ということだと思います。日本のみならず世界の新型コロナ感染状況も踏まえて、開催か中止かといったアンケート結果や報道も見かけますが、都議会各会派の考えは以下の通りです。※今日の質疑を聞いたおくざわ個人の印象です。

都民F 無観客開催でコスト減と安全確保
自民党 経済回復のためにも一丸となって開催へ
公明党 復興五輪などの目的を果たすために開催へ
共産党 中止
立憲  観客数など工夫しながら開催へ

では、みらいはといえば、
インバウンドも含めたフルスペック開催 ✖️
中止や無期限延期 ✖️
ということで、

観客数減らした開催(もしくは見通しのたつ範囲での延期)について、レガシーを最大化する分岐点を見極めること、
大会開催単体ではなく、文化振興や被災地からの発信といった大会に伴って得られるレガシーについても検討していくよう求めました。

そもそも論ですが、五輪開催の可否について意思決定権は東京都や国にはなく、組織委員会にもなく、IOC国際オリンピック委員会が握っています。その判断が下るまで、東京都として出来ることを続けていくしかないのです。もちろん、都として望ましい形をシミュレーションするのは大切なことであり、それも求めました。

2.レガシーって何?

レガシーとは、「オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催により開催都市や開催国が、長期にわたり継承・享受できる、大会の社会的・経済的・文化的恩恵」とされていますが、簡単に言うと、東京2020大会を通じて得られるポジティブな変化と考えてください。

一昨年のラグビーワールドカップでは6464億円の経済波及効果や大会を観た人々のメンタル面でのポジティブな変化が報告されています。また、NPOと連携したプログラムではアジアの貧困の子どもたち2万人の暮らしに良い影響を与えるだけの寄附が集まったということです。開催後経済効果分析レポートはこちら

一方で、東京2020大会では2017年に試算されており、経済波及効果は約27兆円、バリアフリーやテレワークの推進、文化プログラムやエネルギー利用なども含めた「2020年に向けた東京都の取組-大会後のレガシーを見据えて-」というものが存在します。

また、五輪人権尊重条例による性自認・性的指向による差別禁止やヘイトスピーチの解消、受動喫煙の防止といった取組も一つのレガシーになるものと考えています。

3.ジェンダー平等をレガシーに

そのような中、組織委員会の会長である森喜朗氏による女性に対する差別的発言が大きな波紋を呼び、大会運営にも支障をきたす恐れを招いています。今日も都民Fや共産党から辞任を求める意見や公明党から憤りの声があげられました。

当然、私にとっても憤りを覚える、許しがたい発言ではありますが、怒りのままに森会長を叩いても、東京、日本に根付いた性による差別や生きづらさは何一つ解消しないと考え、パートナーシップ制度の実現やジェンダー平等の実現こそ、残すべきレガシーだと主張しました。

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以下、該当部分です。

今日取り上げてきたレガシーについて、私は東京2020大会が日本人の価値観を変えることが最大のレガシーになると考えてきました。五輪人権尊重条例における性自認・性的指向への差別的取り扱いの禁止やいわゆるヘイトスピーチの解消、受動喫煙の防止といった、これまでの日本においてはタブー視されてきたことについても、大会を契機に世界標準に肩を並べていこうという取組や議論こそが最も大切なことだと思うのです。
今般、組織委員会の森会長より女性に対する残念な発言がありましたが、ジェンダーギャップ指数を見ても分かる通り、日本はジェンダー平等について世界から大きく後れを取っているのが現実なのです。確かに発言自体は大変遺憾であり、個人的にも許しがたいものです。しかし、森会長がやめても、この東京に、日本に性による差別や生きづらさは残り続けるのです。
一例を挙げれば、ダイバーシティをうたう東京都にあって同性パートナーシップ制度の検討は一向に進みません。コロナ禍の今、切実な不安を抱えて暮らす方々がいらっしゃいます。また、別の例を挙げるならば、都立学校の入学試験において男女別定員制が残り、男女間に合格点の格差が生じているのも現実です。
この場に小池知事がいないのが残念でなりませんが、本当の意味で五輪を迎えるにふさわしい東京都に生まれ変わるチャンスなのです。これを機に、パートナーシップ制度の実現やジェンダー平等の実現も、東京2020大会の残すべきレガシーの一つにすべく取り組んでいくことが私たちの責務だと考えます。怒りや憤りといった感情をそのままに表現することは簡単です。失敗をおかした個人を責めることは誰にでもできます。しかし、その失敗をカバーして、分断を生まず、今よりも良い社会をつくっていくことは私たちにしかできないことなのです。
本当の意味で東京が、日本が、世界がONE TEAMになるよう全力を尽くすことをお誓いし、また、これを見ている、聞いている全ての方々にも心からお願いし、質問を終わります。

動画は、こちら
令和3年オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会」→「2月5日質疑
→3時間19分30秒から質疑(3時間34分30秒から該当部分)

委員会が終わった後、ある尊敬する議員から「残りの任期5ヶ月、必ず実現しましょう」というあたたかい言葉をいただきました。「今」変えるチャンスがあることを大切にして、覚悟を決めて取り組んでいきます。