あの「お菓子のホームラン王」が?
シャトレーゼの亀屋万年堂買収。
「人」を喜ばせるためのお菓子を売る、亀屋万年堂。
「自分」で楽しむためのお菓子を売る、シャトレーゼ。
全く逆なのです。
それに伴い、価格設定・ブランド戦略も異なってきます。
今回は、亀屋万年堂の「ナボナ」と、シャトレーゼの「豊酪(
シャトレーゼのブッセ「豊酪」とは
シャトレーゼにも、亀屋万年堂の「ナボナ」とよく似た、
安くて美味しい。筆者も常に買い置きしています。
美味しさの秘密はクリームにあります。
ゴルゴンゾーラやチェダーなどのチーズに、角切りチーズ・
素材は、地元である山梨近隣のものを用いています。
水は、日本名水百選にも選ばれた「白州名水」。卵は、
これら、厳選された素材を使う一方、コストは、仕入・製造・
美味しくて安い。まさに「自分が楽しむ」ためのスイーツです。
亀屋万年堂の「ナボナ」とは
対して、「ナボナ」とはどのような商品なのでしょうか。
ナボナを食べるのは子供の頃以来。しばらくぶりの感想は
「ナボナってこんなに美味しかったっけ?」
でした。
きめ細かく丁寧に作られた生地。かすかに記憶に残る、
以下の記事によると
「スポンジ(ナボナの皮)や製法などを、
時代の好みに応じて少しずつ改良しているのです」
亀屋万年堂の横浜工場に潜入! 銘菓「ナボナ」の隠れた秘話とは?(はまれぽ.com)
とのこと。クリームの味はやや「豊酪」が上回るものの、生地は「
ブランド力です。
シャトレーゼが欲しかったもの
筆者は、これまでナボナを自分で買ったことはありませんでした。
「自分」で食べるために買う「豊酪」に対し、「人」
「ナボナはお菓子のホームラン王です」
昭和世代なら誰でも知っている、このキャッチコピー。
このブランド力こそ、シャトレーゼが欲していたものです。
ブランド力・全国的知名度を活用し、
シャトレーゼのビジネスモデル
シャトレーゼの成長要因の1つは、フランチャイズの活用です。
1986年にオープンした、工場直売のフランチャイズ1号店が、
まず、高収益の「手本」となる店舗を作る。
これが、シャトレーゼの成功体験です。
亀屋万年堂においても、
2021年度、
山梨でまず新たな亀屋万年堂の店舗を一から作り上げる。 売り上げ1億円以上の売れる店舗を示し、 フランチャイズチェーン(FC)での出店を募集して全国展開する
シャトレーゼ会長「和菓子店を全国に」 亀屋万年堂買収: 日本経済新聞
「フランチャイズに不安はあるけど、亀屋万年堂だったら、
そう思わせる亀屋万年堂の高い知名度。そして、
この買収は、シャトレーゼの全国展開の手段として、
全国展開の課題
では、シャトレーゼの狙い通り、
供給面、需要面とも課題があります。
シャトレーゼは、
また、少子化や都心への人口流出などによって、
企業文化の維持を
戦後の砂糖不足の時代でも、「サッカリンだけは使わない」
両社とも、安心・安全を重視する企業文化を持っています。
[ 参考 ]
※1 原材料
死角はあるか?コスパ最強の洋菓子店シャトレーゼ快進撃の秘密(
株式会社シャトレーゼのウェブサイト。
シャトレーゼ、亀屋万年堂を買収 和菓子FC展開へ(日本経済新聞)
「コンビニは敵ではない」
シャトレーゼ、郊外で鍛えた力を海外で生かす(