男性なら誰しも心に抱えているだろう「森喜朗的思考」から脱却するために...

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

2月8日付けで、会派結成から2年間就いてきた幹事長職を辞任し、森沢きょうこ議員が幹事長に就任しました。

1.なぜ交代したの?

先日、東京2020大会組織委員会の森会長から「女性のいる会議は時間がかかる」といった差別的な発言があり、当初は大変な憤りを感じていました。特に、森沢きょうこ議員、斉藤れいな議員は自身が女性であることもあり、怒りを通り越して、あ然としていたというのが実情です。

そのまま憤りを表現することは簡単ですが、それでは私たちが議員としての務めを果たしたとは言えません。会長が辞任しても、ジェンダーによる差別は日本社会に温存されたまま、同じことが繰り返されてしまうし、実際に繰り返されてきました。署名活動など様々なアクションが起こる中で、私たちにできることは何かとすぐに考え始めました。

先日のオリンピック・パラリンピック特別委員会でも述べたように、都立学校において男女別定員制度が残り男女間で合格点に格差が生じていることや、同性パートナーシップ制度の検討が進まないことなど、東京都にはジェンダー平等とは呼べない状況が残っていますこうした状況を変えるためにも、多様な人材が政治家になることの必要性を感じていましたし、特に幹事長という会派を代表する役職についている女性は全6人中1人という状況だったので、女性を幹事長とすることで都議会に一つの風を巻き起こしたいと考えました。

本日付で、東京都議会 無所属 東京みらいは、幹事長を奥澤高広(町田市選出)から森澤恭子(品川区選出)に交代いたしました。

先週のオリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗氏の発言は、森会長の個人の問題のみならず、ジェンダー平等にはまだまだほど遠い日本の現状を明るみにしました。

153か国中121位(前回は149か国中110位)という「ジェンダー・ギャップ指数2020」(世界経済フォーラム/WEF)が示す通り、日本は国際的にも、男女格差がまだまだ大きいと位置づけられていますが、これは、政治分野での女性参画がなかなか進んでいないことも大きな原因となっています。

私たちは、今回の一件を、一個人の問題で終わらせることなく、ひとりひとりがそのジェンダー・ギャップの是正に向けて行動をとっていく契機にすべく、会派の代表である幹事長を交代いたします。

多様な人材が活躍できる東京都議会となるよう、微力ながら取り組んで参ります。みなさまからより一層のご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

無所属 東京みらい 幹事長 森澤恭子

2.女性であれば誰でもいいのか問題について

こうした人事を行うと、女性なら誰でもいいのか。能力がある人が役職に就けばいいという方もいらっしゃいます。しかし、例えば議員になるということ一つをとっても、深夜まで議会が続くこともあれば、土日も地域のお祭りなどを練り歩き、朝から駅に立つことを求められることもしばしばです。

こうした状況の政治家の活動については、女性、特に子育て中の女性にはハードルが高いのは想像に難くないと思います。つまり、議員になるという段階で、ある程度年齢を重ねた男性が有利になる環境があるのです。

私が幹事長に就任した時を思い出しても、もちろん(秘書時代も含めて)政治経験が長いという側面はあったものの、体力や時間という面で選ばれたように記憶しています。

つまり、政治の世界においては、男性というだけで無意識に下駄をはいていることに気づかなければならないと思っています。その下駄を脱いで、3人の能力を見比べたときに、3人共に引けを取らないと考えました。

一方で、経験という意味では私が一歩前を進んでいるのは確かな事です。しかし、これも思い返すと2年前には右も左も分からずに、他会派との調整や議会運営委員会への出席といった仕事に日々悩みながら取り組むことで培われたものです。日本では、役職を選ぶ際などに経験を大きな要素にするケースがよくあります。例えば国会議員においては、大臣になるには5期(5回当選)以上でなければならないといった暗黙のルールもあるようです。

しかし、もうお気づきかと思いますが、経験とは、その役職に立って初めて得られるものであり、役職が人を育てるも言います。経験を優先していては組織の若返りや層の厚さは生まれてこないのです。森沢きょうこ議員が幹事長という役職につくことで、個人としてもより一層の成長が期待できるうえに、組織に多様性が生まれることで無所属 東京みらいとしても、東京都議会としてもより良いものになると確信するところです。

3.ジェンダー平等のカギは男性にある!

今回の幹事長交代は、私から提案しました。先ほども述べたように、政治の世界に限らず、日本社会の大部分では男性が無意識の下駄をはいています下駄をはいた男性が座っているイスがあるとすれば、自ら席を立たなければ、そのイスに他の人が座ることはできません

管理職に占める女性比率が思うように上がらないことが表している(下図)と思いますが、日本における意思決定層には男性が占めている割合が非常に高いです。日本におけるジェンダー平等の実現には、男性が自らイスを譲れるか、つまり、圧倒的に男性の問題なのだと思います。

一見すると右肩上がりに見えますが、グラフの軸に注目、上限が20%になっており、 いかに目標も実績も低いかを表しています。

そのような意味から、森会長に対する「辞めろコール」はかえって男性を頑固にし、扉を閉ざしてしまうことに繋がりかねないと危惧しています。男性なら誰しも、知らぬ間に心のどこかに森喜朗的存在があるのを分かっているからです。私だって、これまでに女性に対して差別的な言動をとったことがないと胸を張って言えるような人間ではありません。しかし、幸運なことに、そんな自分に気づき、変わるチャンスがあったから、今回の判断を即座に取ることができただけなのです。

女性が声を上げて男性を攻撃する運動ではなく、女性も男性も自分事にして、身の回りのことを変えていくことが一番の近道だと私は考えています。

4.千里の道も一歩から

今般の幹事長交代を知り、そんなことで社会が変わるかと思った方もいるかもしれません。しかし、千里の道も一歩から、身の回りでできることを探し、すぐに実行する積み重ねこそが、本当に大きな変化を生み出せるのと私は信じています。

皆さんにも是非その一歩を踏み出していただきたいと思います。例えば、#ジェンダー平等をレガシーに あるいは #東京都にパートナーシップ制度を といった署名活動に参加するのも大切な一歩になります。あるいは、政治家として社会に一石を投じたいという方がいれば、私からも最大限のサポートをします。是非お声がけください。

今後は、森沢きょうこ幹事長、斉藤れいな政務調査会長のサポート役として全力を尽くしていきますので、引き続きのご指導・ご支援をよろしくお願いします!

森沢きょうこ幹事長も想いを述べているので、併せてお読みください!