オリパラ組織委・森会長の失言に見る日本のジェンダーギャップの問題点

2021年02月05日 06:01

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

さて、3日に報道され、SNS等で大きな波紋を呼んでいる東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言について、取り上げたいと思います。

metamorworks/iStock

まず、どのような場面でどのような発言があったのかを整理すると、

場面)

日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会において、JOCが女性理事を増やしていく方針を掲げていることについて議論する際(現在の女性理事比率20%を40%にしようという内容)

発言内容)※いずれも報道ベース

女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。」

「(女性理事は)誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。みんな発言される。」

「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困ると言っておられた。」

「競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかり。的を射たご発信をされて非常にわれわれも役立っている。」

「私どもの組織委員会に女性は7人くらいか。7人くらいおりますが、みなさん、わきまえておられて

1.ジェンダーギャップって何?

そもそもジェンダーギャップとは、世界経済フォーラム各国における男女格差を測る指数として示しているもので、①経済②政治③教育④健康の4つのテーマで順位がつけられています。

中でも、日本の政治分野における男女格差は153か国中144位という状況です。政治分野に男女格差があるということは、女性の意見や感性が反映されにくくなるということとニアリーイコール(ほぼ同じ)ではないかと考えるものです。

ジェンダーギャップの話をすると、女性活躍は進んだじゃないかと反論される方もいらっしゃいます。しかし、日本における女性の社会進出は労働力を補うような男性目線で行われてきた歴史があります。世界における女性活躍(woman empowerment)は、女性が自分らしく生きていくのを後押ししていこうという意味であり、そのハードルが高いままに残っているのが日本の現在地ですよと評価されてしまっているのがジェンダーギャップだと私は捉えています。

2.発言の問題点

①オリパラ組織委員会会長という立場、JOC評議員会という場面

東京2020大会のコンセプトの一つには「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」が掲げられ、ポジティブ(前向き)な変革を起こしていこうという方針が示されています。

実は、オリンピックは以前は男性中心に行われるべきものであり、女性を軽んじる風潮が強かった時代もあります。日本だけでなく、多くの国において男女格差は存在したのです。しかし、それは良くないと様々な運動があり、今ではオリンピック・パラリンピックを多様性を象徴する大会にしようという方向性に向かっています。

今回の森会長の発言については、海外メディアにおいても「女性の制限を示唆する発言」(ニューヨーク・タイムズ)と取り上げられており、大会をリードするトップの発言としては問題があると言わざるを得ません。

②女性が入っている会議は時間がかかる

「女性」だから話が長くなるわけではないですし、そもそも多様な意見が出る会議は悪いものなのでしょうか

立場をわきまえて黙っていることが良しとされてきた会議から何か生み出されてきたのでしょうか。このあたりの感覚のズレが、女性に限らず多様な人材の社会進出を阻んでいる要因であると思わざるを得ません。

また、国際的に大きな場面を踏んできたという発言も誤解を与えかねません。私も長年スポーツを身近に感じてきて、物言わぬ選手が物言う選手よりも可愛がられるような風潮を度々目にしてきました。立場ある人の発言は、時に選手の言動を抑制してしまいます。選手にとって、その一挙手一投足が自己表現になり、その一部でも制限してしまうような発言にも私は違和感を感じています。

3.周りは笑っている場合ではない

森会長の発言は論外と思いますが、同席していた評議員から笑い声が上がったという点に、日本の抱える問題が凝縮されていると私は考えています。

この発言におかしいと思わない、あるいはおかしいと思いながらも、目上の立場の人に忖度して注意することができない、こうした方々が日本のトップ層をしめていることが浮き彫りになりました。

以前、とある議員の集まりで年配の男性議員が(お酒を飲みすぎたせいもあってか)女性議員の手をとってキスをしようとする場面にでくわしました。私は席が離れていたので、場が騒然となってから気づいたのですが、それに対して、毅然とした態度で「それはいけない」と注意する議員が周りを取り囲んでいたのです。

当事者は何がいけないのか分からないといった様子でポカンとしていましたが、数十年前にはそれが許容されていたのだと思います。しかし、今の時代に許されるものではないと説明を受けたようで、翌日謝罪をしていました。こうしたことの繰り返しが、本当の意味で日本の価値観を変えていく重要なことなのだと思います。

4.声を上げる意味

私は、このニュースを目にしたときに、たまたま同僚の森沢きょうこ議員と一緒にいたのですが、大学時代からジェンダーギャップについて研究していたということもあり、大変な憤りを感じているようでした。しかし、これをツイートすべきか、自分の考えを発信するべきかと悩んでいました。

私は、その憤りや違和感をしっかりと声にするべきだと伝えました。小さな声かもしれないけれど、おかしいと思ったことをおかしいと言う人が増えないと、日本は変わらないと思います。また、社会の中で抑圧され声に出せない人も多いからこそ、私たちのような立場の人間が声をあげるべきとも考えます。

一方で、いつのまにか「森会長辞めろキャンペーン」にすり替えようとする勢力がいることは残念でなりません。日本のジェンダーギャップを変えて、女性がもっと自分らしく生きていける社会にするには「この発言は許せないけれど森会長を嫌いにはなれないと思っている人」も味方につけて、「森会長の発言に違和感をもてなかった(気づかなかった)人」の考えを変えていくことが重要です。

森会長辞めろキャンペーンは、今そのポジションにいる人たちの更なる抵抗を生み、これまでの価値観とこれからの価値観の対立や分断を生むものでしかないと考えます。

森会長が、この発言の問題点に気づき、自ら反省し、歩む方向性を変えていくような世論形成をどうしたらできるのか。引き続き考えていきたいと思います。

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東京都議会議員(町田市選出、無所属 東京みらい)

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