親が離婚した後の子どもの養育をめぐる課題の解消に向けて、上川陽子法務大臣は10日、法制審議会に対し、離婚後に両親どちらも親権を持つ「共同親権」の導入も含め、関連する制度の見直しを諮問した。親の離婚後の子どもの養育をめぐっては、養育費の不払いや、父親か母親のどちらか一方しか親権を持つことができない「単独親権」によって生ずるさまざまな課題が指摘されている。
法制審議会の総会では、上川法務大臣は「子どもの最善の利益をはかる観点から、実態に即した検討をお願いしたい」と述べ、関連する制度の見直しを諮問した。父親と母親の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入の是非なども含め、離婚したあとの子どもの養育の在り方について、幅広く議論される見通し。審議会からの答申の時期について、上川大臣は1月の記者会見で、「スピード感を持って充実した調査審議がなされること、できる限り早期に答申がされることを期待している」と述べていた。
法務省の庁舎前にはこの日、離婚によって親権を失い実子に会えなくなった別居親や祖父母など当事者約150人が集まり、運動のシンボルカラーであるオレンジ色のバンダナをつなぎ「共同親権を求める人間の鎖」を作成。「上川大臣子どもファーストお願いします」と声を上げた。
また、一人一人マイクを持ち「月1回2時間しか子どもに会えていない。未来の子どもたちのために血の通った法律に直してください」「日本は世界から見たら外れている。世界では自分の子どもに会えるのは当たり前」など、次々に訴えた。
単独親権問題をめぐっては、国際結婚の増加に伴い、離婚後に自分の子どもに会えない外国人当事者も増えており、昨年7月にEU議会から日本政府に対し、非難決議が出されている(拙稿:EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を)。また、単独親権制度による親子の引き離しで精神的苦痛を受けたなどとして国家賠償請求訴訟が起きており(拙稿:親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴)、親子の引き離しが起きないような制度の構築に向け、各省連携した抜本的な対応が求められている。