高齢になっても雇用されるには?

2021年02月14日 14:01

日経ビジネスに「70歳“定年”パニック、雇用延長が企業と個人にもたらす『不幸』」という記事があります。世の中の趨勢は65歳までの再雇用、そこから更に1年ごとに70歳までペースダウンしながら働くという方も増えてきました。もちろん、今までとは全く違う業種に出る方も多いのですが、それこそビル管理人といった地味な仕事が多く、駅前の自転車置き場の管理人の応募倍率は非常に高く、「人気職種」となっています。

Dean Mitchell/iStock

本格的な高齢化社会を迎えるにあたり、雇用側、被雇用側双方で改善できるものは何でしょうか?

私の事業の一つ、マリーナの現場のスタッフは20代から70代までいますが、基本的には皆、同じ仕事をしています。年齢に関係なく同じ仕事が出来る第一の条件は健康であり、かつ、体が動くことであります。変な話ですが、ちょっとしたモノが持てない、すぐに疲れて座りたくなる、仕事は義務感で言われたことだけやるではだめなのです。別に運動会をやるわけではないので特別の能力を求めているわけではなく、通常の業務に支障がない体力と気力があればよいのです。結果として20代も70代も同じ給与です。まさに同一労働同一賃金です。

同じマリーナの事業で割と勤続年数が長い70代の現場責任者がいたのですが、ある時、背中を押させてもらいました。理由はオウンワールド(自分の世界)を勝手に作り、頑固になり、客の言うことすら聞かなくなったからです。客に指示をし、我々に説教をするようになり、勘違いも甚だしいと判断したわけです。日本ではあまり聞かないと思いますが、こちらでは「辞めてもらいますよ」は厳しいようだけど避けられない最後通牒で本当に「今日で終わりです」と通告することはどこの会社もやっているのです。

企業に長く務め、結果として雇用延長してもらうような60代の方々は非常に増えていると思います。一方で企業は諸手を上げているかと言えばなかなか苦戦しているのが実態でしょう。一つは労働生産性の低下、指示系統で遠慮が出る、そして言うことを聞かないであります。もちろん、会社の方針として再雇用があるわけですから人事部に文句を言っても「まぁ、その辺はうまくお願いしますよ」と流されるわけです。

とすればある程度の年齢になった被雇用者自身が自覚することも必要なのです。スキル仕事、例えば経理ならば何歳まででもできそうですが、経理処理の単純集計作業は会計ソフトがやるし、入力は若い人が早いし、出揃った数字のチェックは老眼で「字が見えない」となればスキルがあっても役に立たなくなっているのです。また「べき論」を振りかざす方もいるのですが、経理の仕事でさえ、どんどん変化し進化しているのに10年前のやり方を「正」だといわれても皆、困るのです。

では高齢の社員は何処でチカラを発揮するのでしょうか?まず、経験から来る作業全体を俯瞰した際の整合性、チームの中でスタッフの力のアンバランスなどはパッと見えるのだろうと思います。ならばベテランが足りないところをさっと補正することで全体がうまく流れるようにするといったことがよいのかと思います。

また社会的知識も多く持っているとすれば「是非論」も論理的に説明できると思います。ここでくれぐれも間違ってはいけないのは事実だけを述べ、そこから先の自分の考えはなるべく除去することだと思います。高齢のスタッフが若い人から避けられるのはこの講釈と話が長いのがたまらなく嫌なのです。

高齢者になったからこそ、パリッとした服やファッションに気を遣うことも大事だと思います。よれよれのドブネズミ色の服ばかりじゃだめで原色系のアクセントをつけたりしておしゃれに気を使う、あるいはあまり古くなった服はさっさと新しいものに変えることは必要なのでしょう。(これは私にもいえることです。)

もう一つは広範囲なことに興味を持つことかと思います。「銀座のホステスはなぜ高いのか」といえばスポーツ新聞から日経まで読み、話題ネタを全部知っていて客に合わせて野球や芸能の話から株の話題、国際情勢まで話を合わせることができるからなのです。つまり銀座のホステスは場所代だけではなく、ホステスの質が高いのです。とすればシニアの従業員も同じように広範囲の知識を持つことが大事なのです。「僕もクラブハウスの招待状、探しているんだよね」ぐらいを20代の社員にかましたら人気出ること請け合いです。

私はシニアスタッフが肝に銘じるべきは冒頭の同一労働同一賃金なのだろうと思います。シニアスタッフになって同一労働ができるのか、あるいは出来ないなら自分にできることは何か、を探し出す工夫が必要で「さすが、ベテランさんだけあって助かった」と言われるようになり、輪に溶け込むことが必要です。自分の社歴で今まで上り詰めた肩書を完全に忘れ、初心に戻り、一緒に汗をかくことを肝に銘じてもらえる方が増えれば日本のシニア雇用の質はぐっと上がると確信しています。

ウィンウィンの関係、これができれば日本の労働力不足の問題はだいぶ解消できるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年2月14日の記事より転載させていただきました。

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