トランプ前大統領の2回目の弾劾裁判、やっぱり無罪で公職復帰も?

トランプ前大統領の史上初の2回目の弾劾裁判が13日に評決を迎え、有罪は57票、無罪43票となり、有罪に必要な上院議員の3分の2(67人)に届かず、トランプ氏の無罪が確定しました。55対45で可決した最終弁論での証人招致を一転して取りやめるなど紆余曲折を経て、2月9日に開始した弾劾裁判は5日で幕を閉じました。

Trump White House Archived/Flickr

共和党の造反者は、以下の7名。評決前にマコーネル共和党院内総務(ケンタッキー州)が無罪に票を投じると党内に言い渡した結果、多くはマコーネル氏に続いた格好です。

有罪票を投じた共和党議員

・リチャード・バー議員(ノースカロライナ州)
・ビル・キャシディ議員(ルイジアナ州)
スーザン・コリンズ議員(メイン州)
リサ・マコウスキー議員(アラスカ州)
ミット・ロムニー議員(ユタ州)
・ベン・サス議員(ネブラスカ州)
・パット・トゥーミー議員(ペンシルベニア州)

共和党中道派、反トランプ派の5名は予想通り有罪票を投じる 作成:My Big Apple NY

このうち、バー議員とトゥーミー議員は2022年の引退を表明済みです。バー議員と言えば、20年3月に新型コロナウイルス大流行前による米株急落以前に保有株を売却したとして、インサイダー取引疑惑を受け米上院情報委員長を辞任していましたね。

造反者が7名にとどまった背景として、トランプ前大統領が1月28日に下院のマッカーシー院内総務と会談、中間選挙で協力するとの確約したことが影響した可能性があります。2月に入り、米議事堂事件をめぐる電話会談でトランプ氏がマッカーシー氏に選挙結果の不正に対し積極的に対応しなかったと猛批判したとの報道が飛び出しましたが、党内の結束を優先したのではないでしょうか。第3勢力を旗揚げされては、共和党の支持層を奪われかねません。

ちなみに1月13日、民主党多数派の下院は1月6日の米議事堂襲撃事件を受け「反乱の扇動」でトランプ氏を弾劾訴追し、これに賛同した共和党の下院議員は以下の10名でした。

弾劾訴追に賛同した10名の下院議員

・リズ・チェイニー議員(ワイオミング州、ナンバー3である会議議長職から辞任圧力を受けるもマコーネル上院院内総務が擁護)
・トム・ライス(サウスカロライナ州)
・アダム・キンジンガー(イリノイ州)
・アンソニー・ゴンザレス(オハイオ州)
・ジョン・カトコ(ニューヨーク州)
・デビッド・バラダオ(カリフォルニア州)
・フレッド・アプトン議員(ミシガン州)
・ピーター・メイジャー議員(ミシガン州)
・ジェイミー・ヘレラ・ビューラー(ワシントン州)
・ダン・ニューハウス(ワシントン州)

無罪評決を受け、これでトランプ氏が公職に返り咲く余地を残したことになります。トランプ氏は中間選挙で共和党に協力する意思を表明し、第3勢力の愛国者党の金援助に関与していないとする通知を1月25日、連邦選挙管理委員会(FEC)に提出していました。トランプ氏が実際に2024年の大統領選に出馬し政界返り咲きを試みるのか、中間選挙が命運を握ることでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年2月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。