日韓問題 解決できるもの、難しいもの

保守派の方からすれば日韓関係の雪解けなど興味ない、ずっと氷結していてもよい、とご意見されるかと思いますが、世の中は常に流動しており、その流れはある程度吟味しておく必要があると思います。しばらく日韓関係の話題を振っていなかったのですが、いくつか気になる話題が出てきましたのでそれをまとめながら、行方を考えてみたいと思います。

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1 解決が難しいもの 慰安婦問題

マーク ラムザイヤー ハーバード大学教授の「太平洋戦争における性サービスの契約」について大論争が巻き起こり、同論文の国際学術誌への掲載が遅延されるか、困難になるかもしれません。反対ののろしはもちろん、韓国側から強烈に発信されているのですが、論文を読んで反論している人はごくわずかで信条からの声が主流を占めているのが現状です。

私も読んではいませんが、売春婦がどのように募集され、契約され、賃金が払われたかについては日本では研究書も証拠も研究成果もあるはずです。なぜか今回のラムザイヤー論文はその裏付けが薄いとされていますが事実はどうなのでしょうか?日本の学者と共同研究にしなかったのは思想的色合いがつくと思ったのでしょうか?これも対応を間違えると学術的にも押し込まれたという結果を生み、日本の研究者も学術的な支持の声を出すべきかと思います。

慰安婦問題は何度も言うようですが、あの時の時代の判断を今の時代感覚に基づき善悪判断しようとすることにそもそもの無理があります。なぜ慰安婦が必要であったかと言えば戦時下にあって一般市民がレイプなどの被害にあわないようにするための当時としてはそれなりに考えられた対策であります。戦場で対峙する人間は究極的な精神状態に置かれているわけで当時としては被害を最小限に食い止めたと考えられます。

議論のある慰安婦の「契約」の件ですが、私の長年の勉強の中で見る限り、何らかの契約はあったと考えています。さもないと「前金」の説明がつかないでしょう。但し、本人が知っていたかどうかは別で、親がお金が欲しくて娘を「人身御供」にしたことはあったようです。様々なケースがあったと思われ、個々で見ると判断基準がぶれると思われます。

個人的には慰安婦問題は十分な歴史的背景と理解がされないままジェンダー問題の真っただ中である今日に至ったのが現実で、ことの中心は感情のしこりだけに解決は難しいかもしれません。

2 解決できるもの 徴用工問題

この問題の根本原因は100%、韓国側にあります。それは三権分立で裁判所の判断は尊重しなくてはいけないことと韓国が情緒法で時の空気に流される点であります。文政権が踏み込めないのは裁判所の判決をひっくり返せないから「お手上げ」という姿勢を示していることでしょう。

私なら1965年の日韓協定に基づき、裁判所の判決に基づく求償権を韓国政府が引き継ぐとするのはどうか、と思っています。これにより裁判所の判決を否定することなく、日系企業がその支払いを形の上で行うが、同時に韓国政府が日韓協定に基づき、それを引き継ぐため、実質的には何も動かなくなります。裁判で勝った人たちは結局、韓国政府からお金をもらう流れになります。

これにより多くの後に続くであろう徴用工裁判がつまらないものとなり、裁判をやめるケースが続出すると思います。理由はこの裁判は日本を打ち負かせるという裁判であり、お金の問題ではありませんでした。それが韓国政府の支払いとなれば全く無意味な戦いになることを悟るでしょう。

3 未知の世界 政権同士の関係

私は大胆な予想をしています。韓国大統領選挙は22年5月ですが、その前に日本の衆議院選挙があり、秋に日本の政権の大変革が起きるとみています。高い確率で首相は変わるとみています。閣僚も大幅刷新で若返りと女性閣僚がもう少し増える気がします。首相が変わるなら現時点で河野さんが最右翼とみています。仮に彼が首相になれば極めて論理的かつ実務的な展開になると思います。外相時代の韓国への姿勢を見ても寄り添うわけでもなし、感情ではなく、作業先行だと思います。但し、両国間を永遠に冷たい関係とする気持ちはないと思われ、きっかけがあれば雪解けを探るでしょう。

一方の韓国側ですが、大統領の再選がない国ですから文大統領は誰かにバトンを渡すことになります。最新の世論調査ではユン ソギョル元検事総長がダントツの1番人気となっています。本人は出馬表明をしていませんが、必ず立候補するはずです。そして憎き与党「ともに民主党」潰しをするとみています。

韓国は世論が左右に振れる国で「勧善懲悪」的ノリがある国ですのでユン氏を爆発的な国民の支持で大統領に押し上げる可能性はあります。ただ問題はそのユン氏であります。私の知る限りでは相当の曲者で独裁的性格も持ち合わせているので彼がどんな意志を持って韓国を引っ張る気なのか注目されます。

現状、中国は「弱腰」文政権に入り込んでおり、中国としては朝鮮半島全体をコントロール下に置こうとしています。それに対し、ユン氏が強い姿勢を示せば、「敵の敵」理論で日本との関係改善はありえることになります。但し、この予想はあまりにも大胆でありますのでここは寝言だと思って頂いた方がいいかもしれません。

他にも日韓関係の切り口は多く、大きな流れとしては関係が緩む方向になるとみているものの目立った改善は期待できないでしょう。日本側にも若い女の子を別にすれば日韓関係改善へのパッションはないように見えます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年3月10日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。