独立規制機関の設置が総務省問題を解決する

総務省幹部が業界から接待を受け、通信放送行政が歪められたのではないかと問題になっている。

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この問題を解決するには、放送免許や周波数配分を担務とする通信放送独立規制機関を設置するのがよい。

欧米をはじめ、世界各国では独立規制機関は20年以上前から設置されている。わが国でも設置が繰り返し提案されてきた。しかし、郵政省も後継の総務省も反対を続け、政治も主導力を発揮できなかった。

その結果、行政は歪められた。周波数オークションがその典型である。

世界各国では、周波数オークションも20年以上前から実施されてきた。しかし、わが国では、「オークションで落札額を支払うと、通信事業者の経営に悪影響を与える」という理由で総務省が反対し、未だに実施されていない。

しかし、総務省の言い分で「通信事業者」というのは「既存の通信事業者」の意味である。その結果、新規参入を希望する事業者、たとえば楽天の参入は阻止され続け、国民が毎月支払う移動通信料は高止まりしてきた。

放送設備(衛星)を保有する事業者と、番組を制作する事業者が協力して衛星放送が実施されている。衛星が発射する電波は近隣国にも漏れるから国際調整が必要で、どんな周波数を使うかは規制される。

それでは、番組を制作する事業者にも規制が必要だろうか。わいせつ番組を放送すれば刑法で裁かれ、低俗な番組ばかりであれば視聴者が付かないから、番組内容の規制は不要である。番組制作者が衛星保有者から放送枠を買い付けるのは民民取引だから、番組製作者に放送免許を与える規制もいらなくなる。それでも残るのは、外資規制くらいだろう。

必要最小限の規制を担当する通信放送独立規制機関の設置は接待を一掃する。

大蔵省と金融業界の癒着が問題になった際、規制を担当する金融庁が設置された。金融庁の幹部を接待すれば規制に影響を与えたと疑念を抱かれるから、金融業界もそんなことはしない。同様に、放送通信業界も独立規制機関幹部の接待には走らないだろう。