行政DXに猶予はない

デジタル社会形成基本法案・デジタル庁設置法案等が国会に提出され、政府はデジタル・トランスフォーメーション(DX)に動き出した。人口動態の変化といった長期的なトレンドも、新型感染症への対応といった短期的な課題も、経済社会のDX、とりわけ行政DXを強く求めている。

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情報通信政策フォーラム(ICPF)では、このところ、「行政DXに猶予はない」と題するセミナーシリーズを開催してきた。

1月16日には小林史明自由民主党衆議院議員に登壇いただいた。小林議員が強調したのは、DXを強行するのは適切ではないということで、次のように語った。

改革は早く実現するに越したことはないが、改革される側と目的が共有できないければブレーキを踏まれてしまう。また、改革に取り残される人を出さない、抱きしめて一緒に前に進むことが重要である。

2月22日には濱村 進公明党衆議院議員に講演いただいた。濱村議員はデジタルアクセシビリティの必要性について次のように話した。

大半の方々がデジタルの恩恵を実感できるようになれば、その先で個別に対応するというのも可能になっていく。デジタルの恩恵を授かれない人に(途中略)対応していく必要があるが、今の使いにくいシステムを使うように押し付けるのは適切ではない。


3月16日には音喜多駿日本維新の会参議院議員が登壇した。
音喜多議員は行政DXが国民にもたらす利益について次のように話した。

マイナンバーへの銀行口座の紐付けなどには中身を知られるのではないかとの抵抗が大きいが、困っている人に迅速に手を差し出すためには(データ連携も含めた)デジタル化によって申請主義から脱却する必要がある。

三者は、行政DXで改革される側への理解形成の重要性と、取り残される人を出さないという点で、同じ方向を向いていることがわかった。マイナンバーを利用する事務の範囲の拡大も同様である。

次回は3月25日に玉木雄一郎国民民主党代表の意見を聞く。ぜひ、ご参加ください。