最近目にして驚いた記事は産経の独自報道で「同性との不倫も『不貞行為』 妻の相手に賠償命令」。かつての判決は異性同士の不貞行為は不倫とされたものの同性のそれは判決としてほぼなかったとされ、この判断は画期的とされています。
この裁判、せっかくこのような判決が出たものの勝訴した男性側は賠償金額が少なく控訴するとし、女性側は賠償額について依頼人の主張がほぼ認められ、実質的には勝訴判決。控訴審も粛々と対応する」(女性側の代理人)とあります。いくらの賠償金だか知りませんが、裁判の結果と勝者敗者がさかさまでなんだかよくわからないのは男女関係の難しさの表れなのでしょうか?
結婚と離婚、このテーマは北米でも日本でもいろいろ述べたいことはありますが、今日は日本のケースをフォーカスしたいと思います。
日本の婚姻数はざっくり年間約60万組。これに対して離婚するのが約20万組。つまり、3組に1組は離婚をしており、もはや離婚は何ら珍しいものではなくなっています。70年代ぐらいまでは芸能人は離婚して話題作りをしているなんて本気で語られていたのですが、普通のご夫婦も離婚したくてしょうがなかったのに「家同士の結婚」というしきたりに我慢をしていたという仮面夫婦もあったのでしょう。
子供が巣立つまでは我慢してそこで離婚というケースもあるのですが、案外、親が亡くなるのを待って離婚するというシナリオの方がすっきりすると思います。そういう視点で分析したものはないと思いますが、子供への遠慮より親への気遣いも大いにあり得ると思います。その点からすれば熟年離婚はもう少し増えてきてもおかしくない気がします。
離婚する年齢を見ると39歳までが男性55%、女性64%となり、若く婚歴が浅い人が性格の不一致などで離婚するケースは統計的にも「離婚の王道」です。一方、熟年離婚をみると50歳以上の離婚率は男性が21%、女性13%となっています。確実に言えることはどの年代もまんべんなく離婚する比率はあるということです。ということは2度目、3度目の結婚離婚になるケースもあるということでしょう。
そもそもなんで結婚するのか、という話です。かつては親から「孫の顔を見たい」という言葉に洗脳され、結婚して子供を授かるのが義務感のようになっていました。ところが子供を作るとなると生活設計をしなくてはならず、概ね女性は夢が膨らみ、自分が出来なかった期待を子供に託し、アバター化しやすくなるのに対して、夫の稼ぎが悪くて現実に引き戻されることもあるでしょう。この場合、夫婦間の視点が子供中心になってしまい、夫婦関係が維持できない場合も存在しそうです。
もう一つ、働く女性が増えたということは女性の自立であり、かつて主婦で家を守るという立ち位置と全く違い、家庭内の発言力も当然大きくなります。これは離婚を誘発しやすくなるはずです。
子供を作らないのならパートナー関係であってもよいはずです。北米では1年以上住んでいれば結婚と同等の権利が獲得でき、結婚に伴う義務は回避しやすいというメリットがあります。特に最大の揉め事である別れたときの金銭精算問題ははるかに楽であります。ドライといえばドライな考え方ですが、別れた時の醜いケースは誰もが避けたいのです。ならば、お互いの「粘着性」を確認するパートナー期間は日本でももっと前向きにとらえてみたらよいと思います。
性格の不一致ですが、個人的に思う最大の理由は金銭感覚と価値観だろうと思います。この違いを持ちながら結婚するのは拷問です。一生、双方が我慢をして妥協の生活をするならばよいですが、ここが不一致ならばそもそも一緒にならない方がいいと思います。こんなこと、分かっていれば誰も苦労しないのですが、若い時の恋愛、結婚というのは表層的なきっかけが多く、一緒になって気がついたということもあります。
男性目線からいうと女性の母親を見るとあらかた数十年後の彼女の様子が分かります。彼女の実家にお邪魔した際、お母さまがどのような人か、家の片付け、金銭感覚、料理、考え方、発言力…を見れば水晶玉を見るように予知できる公算が高いと思います。
ところで結婚をしない人が増えていますが、女性と男性の価値観のギャップが広がっているような気もします。なんでBL(ボーイズラブ)雑誌が売れるのか、現実社会の男から遊離しているとも思えるこの女性の傾向はほとんど焦点は当たらないですが、男からしたら深刻な問題だろうと思います。
オトコよ、奮い立て、ですかね。
今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年3月21日の記事より転載させていただきました。