都議会で自公が5年ぶりに連携した裏にある大切な事。

川松 真一朗

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・40歳)です。

東京都新年度予算成立

新型コロナウイルスに対して、医療体制の強化、経済支援策を盛り込んだ一般会計7兆4250億円の東京都令和3年度予算が可決、成立となりました。今定例会は日程的には2月からでしたが、事実上は1月2日に小池知事が3県知事と国に対して緊急事態宣言発出した時から始まっており、議員のみならず都役人もあっという間の3ヶ月であったと思います。

また、第1回定例会特有ですが、予算特別委員会が設置され小池知事に一問一答の場がありました。私はこの都議会任期中で、公営企業委員長としてメンバーに入っていた事も含めて4年連続で委員となりました。ただ、今年は理事として自民党の交渉係という大役を仰せつかり、ただひたすらに東京の未来の為に全力で動いてきたのです。

予算成立を伝える東京MXテレビ

自民・公明5年ぶりの連携

まず、一番に今定例会を振り返ると、議員提案条例をめぐって、これまで都議会与党会派として連携してきた都民ファーストの会、公明党の関係性に亀裂。最終的には自民党と公明党が5年ぶりに都議会でタッグを組んで政策実現を目指すことになり、一方で都民ファーストの会は共産党と組んで議員提案条例を成立させるという展開となった事には正直驚きました。公明党が5年前に一方的に自民党に対しての連立解消を宣言してから、私はずっと「その理由が分からない」という主張をしてきた立場です。勿論、個別の政策調整等では公明党議員とのやり取りは出来ていただけに、公の場だと「喧嘩状態」になってしまう姿勢に違和感がある旨を指摘していたくらいです。その両者が、ひょんな事から、急接近。

当初、連携話が浮上してからお互いの所属議員の中に、これまでの経緯からモヤモヤしたものがあったのも事実です。しかし、コロナ禍を乗り越える為に「国と都の連携が大切だ」という気持ち一つで、国で政権を握る自民・公明が都議会でも連携すれば、より都民、国民の為に力が倍増するという高所大所からの視点から、両者の執行部が政策の擦り合わせを幾度に重ねてきたわけですが、その中で過去の経緯から100%スムーズにいかない部分もあありました。

都議会に自公の連携を伝える東京新聞

そんな状況したで、その両者にあるモヤモヤした気持ちを吹っ飛ばしたのが都民ファーストの会所属議員のSNS発信でした。なぜ、それが決定的だったのか。それは「条例案を政局にするな!」と叫ぶ方々の内情として、公明党が都民ファースト側の「コロナ条例」に乗らないから共産党と組んだ事をfacebook投稿(既に削除済み)された事で、本音が露わになったのがポイントでした。結論を言うと、当該部分を抜粋すると都民ファーストの会提案の【コロナ条例案】について「中身を聞こうともせず反対すると言った。」「今回ばかりは黙っちゃいなかった。」と書かれていました。つまり、自分達の条例案に乗らないから意趣返しで共産党と組んだ事を明らかにしてしまったのです。条例の中身云々の議論ではなかった事が示されたわけです。

異例の3会派共同談話

自民党の立場からすると1月の段階で公明党から素案を見せて頂き、中身の調整をしてきました。同じタイミングで都民ファーストの会にも渡っていましたが動きがなかったとの事。そして、2月になり正式議会上程のタイミングで各会派に呼び掛けたところ、東京みらい・維新・生活者ネットワークも参加し5会派での共同提案となっていたのです。中身に問題がないのに「なぜ都民ファーストは共同提案にならなかったんだろう?」と自民党内で話していました。そんな1月からやってきた経緯にも関わらず、委員会審査の最終採決日の3月18日に共産党と修正案を出された事で都議会が混乱したのでした。ここからの調整作業中に《条例を綱引き材料》に使った事を自認する上記のfacebook内容だった為、自民・公明・みらいの怒りはMAXになったのでした。

この間の詳しい経緯は、提案5会派のうち厚生委員会に議席を持つ3会派で共同談話を出しましたのでご参照下さい。それぞれのポジショントークだという印象もなくなる公式な3会派発表ですので重みがあると思います。これをベースに、本件の正当性はどこにあるのかをご確認頂ければ幸いです。

厚生委員会の運営について

しっかりとした経緯説明が必要だとの判断で異例の発表

問われる政治家のSNS活用法

さて、今日の本題に入ります。それは政治家の発信ツールとしてのSNS活用法です。

これまで政策発信の場が無かった(マスメディアが取り上げない事)について、どうやって広く有権者の方にお伝えしようかという政治家にとってSNSは効果的であると言われてきました。これに異論はありません。しかし、SNS発信する側として、各政治家は社会的な責任があるのもです。SNSはその発信者がどれだけフィルターをかけられるかにより正確性を持ちますが、逆に一歩立ち止まらないと、個人の思いが色濃く反映される事で偏向的になってしまいがちです。

私などは都議会ではSNSを使っている方だと言われますが、そういった議会運営など他者が絡む事には慎重にしており、事実確認を自分でしていないもの(裏どりできないもの)は発信しないようにします。この度見えてきたのは、各会派間交渉中に当事者達を煽る投稿がエスカレートしていった結果、事実経過の認識があやふやなままの発信もあり、当事者各議員がイライラしていました。その際に先のFacebook投稿で、本音が見え隠れした事で大騒ぎを生んでしまった事になります。

当事者のかつての仲間である音喜多さんは「ポエム」と皮肉っていました。

発信者としてのフィルターを意識

私は2011年からtwitter、ブログ、facebookを始めていまして、常にその発信者側の責任を常に持ってきたつもりです。時に参議院議員になられた音喜多駿さんとはリアルには携帯電話の番号を未だに知らないものの、かなりの掛け合いをしてきました。その事で、お互いの認識のズレを知ることになった事もあります。4年前は共産党都議・文教委員長による委員会運営の不満を私がツイートして、抗議を受けた事もありましたが、「これが、これで、こうだ。」と説明して、私は事実に基づいた感想を述べただけ、嘘を言ってないのに謝罪する必要はないとつっぱねた事もあります。

大小はさておき、議員の発信は影響力を持ち意味を持ちます。特に利害関係者にとって情報が欲しい方達にとっては重要です。今回ほど揉めた事はありませんでしたが、実はこんな混乱のケースでは時に私は他会派にも取材をし、当事者に取材をして発信してきました。仮に、今回のようにただ扇動する為、自分達の言説で強引に世論形成する為にSNSを使うのであれば、現場を知るためのせっかくのツールも有権者に見捨てられてしまう事は政治家の未来にとって不幸な事です。私も自戒を込めて今日からまた頑張っていきます。

条例をめぐる丁寧な解説をしています[約30分]切り取られると分かりづらくなるので。