日本人が英語と数学に弱いのは医者天国だからだ

八幡 和郎

日本人の語学能力の低さを嘆く人が多いが、これを解決する即効薬がある。医者を憬れの仕事でなくすことだ。

国際的なビジネスマンやIT技術者、観光業者など日本に富をもたらす職業が一番尊敬され、儲かる仕事になれば、みんな外国語を真剣にやるだろう。

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医者はあらゆる知的な職業のなかでもっとも語学力を必要としない職業のひとつだろう。もちろん、国際的な学会で成功しようというなら別だが、少なくともほとんどの医者は語学など必要としていない。

たまに、論文読むとか診察にも、だいたい定型的な文章と専門用語だから、AI翻訳とかポケトークで十分だ。

そんな仕事をするのが、全国の高校生の最大の目標であるようでは、語学力など入試を突破するためだけのものにしかならないのは当たり前だ。

医者を美味しい職業でなくして、医学部の偏差値が下がるようにしたら、日本の苦悩はほとんど解決するという私の主張が正当な理由のひとつだ。

数学についても同じだ。医学部に入ると、このごろは、一年生から医者としての教育の一部が始まることが多い。医学部はほかの学部と離れたところにあることも多く、一般教養の勉強はほかの学部より疎かになる。

東京大学の理科一類や二類では、希望の学科に行くためには、教養課程で良い成績が必要なので、英語や数学を一生懸命やる。しかし、理科三類はすべて医学部医学科に行けるので、教養課程で頑張る必要はない。

これも日本の医学部の先生などが数学や統計に弱い理由のひとつで、だから8割先生などのいい加減な議論に騙されるし、ワクチン開発などもうまくいかない理由だ。デオバンで問題になったデータ捏造も審査するほうも含めてデータ解析に弱い日本ならではの事件だろう。