隅田川・荒川の氾濫に備えて墨田区の危機管理

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・40歳)です。

浸水想定発表

東京建設局・下水道局が今般「隅田川は及び新河岸川松流域の浸水想定区域図」を改定した事を発表しました。流域住民にとっては命に直結する大切な話。近年の自然災害は「想定を超えるもの」が多く、甚大な被害をもたらしています。危機管理として準備出来るものは準備しておくというのは当然の事で、簡単に言うと、今回、予想される想定のレベルが上がったという事になります。

経緯を振り返ります。そもそも平成13年度以降、東京都は都内を14区域に分割して「東海豪雨」が降った場合の浸水予想区域図を作成・公表しました。そして、平成27年5月に水防法が改正され、各地域において「想定し得る最大規模の降雨」に変更して浸水予想区域図を作成する事が盛り込まれたのです。この降雨の規模感ですが1年間にその規模を超える降雨が発生する確率が概ね1/1000以下の降雨です。そして、ようやく今年3月30日に、隅田川・新河岸川流域にての区域図が公表される事になったのです。

過去の私自身の都議会における発言にも触れておきます。これは平成30年第2回定例会の時の本会議発言です。

防災対策について申し上げます。
都が本年三月に公表した高潮浸水想定区域図によると、ひとたび過去最大級のスーパー台風が襲来し、堤防が決壊したとなれば、最悪の場合、二十三区の三分の一が浸水するという実に衝撃的な内容であります。
こうした大規模水害に備えるために、水害対策の根幹となる堤防そのものの耐震化や、避難所ともなり得るスーパー堤防などの整備だけでなく、行政区域を越えた避難場所や避難手段の確保など、区市町村や関係機関と連携しながら、都として広域避難の取り組みを進めることが重要であります。
都民の生命と財産を守ることは、行政の最大の責務であります。ソフト、ハード両面から首都東京の安全性を高めるため、万全の対策を講じていくことを求めます。

インターネット・アーカイブにも残っています

似たようなワードが並ぶ

ここで高潮浸水想定区域図というワードが出てきましたが。こちらは最大級の台風が気圧の関係で潮位を引き上げる事による最悪の事態を想定したものです。こちらも平成27年水防法改正により、想定し得る最大規模の高潮に対する避難体制等の充実、強化の為に創設されたものです。

名称が似ているので、紛らわしいのですが、今回発表されたものは高潮は今上に挙げたような最大限高潮にはなっていません。というのは、最大規模高潮と最大規模想定豪雨が重なり合う事は理論上考えづらい為です。
本当に紛らわしいのですが、今回は「最大規模想定豪雨と計画高潮位」作成されてきたもので伊勢湾大風級の潮位です。今回の改定図と既往図の比較をしてみます。
下流部(河口部)における条件として、これまでがA.P.+2.1m(満潮位)だったのが、A.P.+5.1m(計画高潮位)での想定となりました。ちなみにA.P.とは東京湾霊岸島量水標の目盛りによる基準面零位を基準とする基本水準面(ArakawaPeilの略)。

生活の危機を回避するために

洪水と高潮が同時に起こると、どれだけ破壊力があるのかを意識しておくことが重要です。これらの計画図に基づいて、地元墨田区では「墨田区水害ハザードマップ」も作成しています。そして、毎年、水防訓練として最悪の事態を想定し山本亨区長、消防署、本所消防団、向島消防団はじめ区内の各団体・組織の皆さんと行っています。地震と異なるのは、あらかじめ天候の流れに基づいて危機が直前に予想される事です。街場の心ある皆様方は常にこういうケースでは非常時体制を組んで下さっています。特に消防団の皆様は、ご家族やお仕事がある中でも使命感で緊急時に各団の施設に詰めて下さり、水防危機時には最前線で土のう積みなどの作業に入られます。2019年の台風時も当然に各地域に詰めて頂きました。

念のため、最後に。今般改定されたものはあくまで予想です。でも、この最大級の警戒で準備体制を進めておけば備えあれば憂無しの精神です。そして、あくまで隅田川のものでして、荒川については国土交通省が発表しています。こちらも、最大限の最悪事態が起これば墨田区内の浸水状況はとんでもない事になります。

荒川下流河川事務所ウェブサイトにもあります

東京都建設局H P

参考
なぜ高潮が起こるのか?