プラチナバンドは既存キャリアの帯域をけずらなくても空けられる

池田 信夫

きょう開かれた総務省の有識者会議が、楽天モバイルの出したプラチナバンドの再配分案をめぐって紛糾したようだ。この案は次のように既存3社の帯域から5~10MHzずつけずって新規事業者(楽天)に割り当てろという話で、既存業者が反対するのは当たり前だ。

総務省有識者会議の楽天モバイル資料より

しかし既存キャリアも損しないで楽天が新しい電波を得る方法がある。プラチナバンドにはテレビ局の占有している電波が約200MHzもあいているのだ。これについてNHKは次のような資料を出して「デジタル放送に240MHz使い、使用しない周波数は他の無線システムに開放した」と主張したが、このうち200MHzは使っていない。

総務省有識者会議のNHK資料より

それがここに小さく書いてあるホワイトスペースである。たとえば茨城県では、教育テレビ(E)は水戸では13チャンネル、高萩では39チャンネルというようにバラバラのチャンネルを使っているが、これをすべて13チャンネルに集約すれば、教育・総合それぞれ1チャンネルでいいので、7チャンネル(42MHz)で今と変わらない放送ができる。

規制改革推進会議資料より

同じように関東1都6県でもNHKはすべての中継局の周波数を2波に集約すれば、東京MXまで入れて8チャンネルで足りる。それが私が規制改革推進会議に提案したホワイトスペースの区画整理で、ほとんどコストなしで32チャンネル以上あけることができる。

これは虫食い状にあいている帯域を区画整理するだけだから、既存キャリアもテレビ局も損しない。問題があるとすれば、200MHzという帯域は大きすぎるので、楽天1社に割り当てるわけにはいかないことだろう。これは5スロットぐらいにわけて既存キャリアも含めてオークションするか、半分の100MHzはWi-Fiなどの免許不要帯にすることも考えられる。

こういう区画整理は、欧米では時間がかかる。UHF帯でテレビ局がデジタル放送しているので、それを立ち退かせないと放送波との干渉が起こるからだ。アメリカではこれを10年かけて(逆オークションで)立ち退かせ、600MHz帯のオークションで200億ドルで売却した。

しかし日本の地デジはOFDMという新しい方式なので、立ち退きは必要ない。同じ周波数を複数の中継局で使っても、干渉が起こらないからだ。中継局の周波数は親局のスイッチで変更できるので、物理的な基地局は変えなくても県域ごとに1波に集約できる。現実に神奈川県の中継局の97%は1波に集約されている。

視聴者の側では、テレビのリモコンでチャンネルスキャンをやれば、図のように新しいチャンネルに変更できる。引っ越したときにやった人がいるだろう。

これによって今40チャンネル占有しているテレビ局の電波は7~8局に整理でき、残り32~33チャンネルは新規事業者に割り当てることができる。これは規制改革推進会議で総務省もNHKも「技術的には可能だ」と認めた。

これは楽天モバイルのスタッフも知っているはずなので、まず技術的な問題を整理し、ホワイトスペースで何MHzあけられるか検討すべきだ。これによって誰も損せず、競争は促進できる。損するのは、密室の接待で独占利潤を得てきた業者だけである。

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