今回は、この「白いワゴン車」が主人公です。
よくご覧ください。どうも「視覚障害者誘導用ブロック」(以下、点字ブロック)の上に駐停車していませんか?一度や二度ではありません。私はこの光景を何度もみてきましたが、その度に「夜間の人通りが少ない時間帯とはいえ、モラル欠如が甚だしい。こんなことを、いつまで続けるつもりだろうか?」と思わざるをえませんでした。
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合(以下「日視連」)からの「お願い」です。
残念ながら、一般の人の中には未だに無理解な人もいます。
点字ブロックの上に、駐車・駐輪されているようなケースなども少なくありません。その他、視覚障害者がぶつかったり、自転車を倒したり、のみならず白杖を折ったりするトラブルも日常茶飯事です。
(筆者中略)
歩行・移動時の安全性を確保するため、今後、誘導ブロックをはじめとしたさまざまな課題に対しても、積極的に発言していきます。また、広く社会への啓発活動にも取り組んでいく所存です。
点字ブロック上には物を置かないよう、ご理解・ご配慮をよろしくお願いします。
日視連など関係団体の積極的な発言や自治体の広報も叶わず、むしろ「未だに無理解な人」が増え続けている様子は、私たちの周囲を見渡せば明かでしょう。
さて「白いワゴン車」に戻ります。どこかで見た気がいたしませんか?それが「都知事のものではないか?」と確信するまで、多くの時間を要しませんでした。パソコンで検索すると「小池百合子新都知事、初登庁」という動画や写真などからハッキリします。
東京都知事は、地方公務員法第29条の規定により、公務における規律と秩序を維持することを目的として、職員に法令等の違反、職務上の義務違反、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合などに、職員の懲戒処分等を行う立場にあり、最新のものでも3月30日に公表されていますが、知事らの非行は誰が咎めるのでしょうか。
日本では「視覚障害者誘導用ブロック設置指針・同解説」や「道路の移動円滑化整備ガイドライン」に基づき、各自治体の条例等にしたがって点字ブロックが設置されていますそして2012年(平成24年)、点字ブロックの国際規格は、日本のJISを基に定められ、現在では多くの国に広がっています。(同日視連HP参照)
このように点字ブロックは、自治体の条例等にしたがい設置・整備されてきたことがわかります。その一枚一枚は決して安価なものではありません。また「視覚障害者にとって有用な点字ブロックも、他者への問題点や課題」が少なくありませんが、まずは視覚障害者の移動円滑化のために役立てられるべきものなのです。
平成29(2017)年5月16日(火)、小池知事は、都立文京盲学校、都立大江戸高等学校を視察しています。視察を終えた知事は、文京盲学校について、「実際に目の不自由な生徒たちが、どのような思いで通学しているかということを体験し、改めて点字ブロックの重要性を痛感しました」と感想を述べています。
ツイッターでの活動報告では「点字ブロックの重要性を体得」までし、東京都のホームページでは「行政視察」として報告されています。行政視察とは、行政の適正な運営を行うために、他の自治体・団体組織などの先進的な取り組みを実施する地域を訪れ、その実情・事例を直接調査・把握するためのものです。
活動報告の最後に、
「誰もが輝くダイバーシティを目指しているので、障害のある方々にも教育の機会、自分を磨く機会をしっかり作っていきたい」「教育の格差、街の段差を無くす。まさしく、私が目指す都政の一つ」と述べています。
しかし、実態は程遠いのです。「点字ブロックの重要性を痛感」「点字ブロックの重要性を体得」「街の段差を無くす」と言いながら、みずから乗車する「白いワゴン車」が正面玄関に乗り上げ、点字ブロックの上に待機、駐停車しているのですから。為政者による「できもしない」「やりもしない」こうした非行と言動が罷り通っています。
東京都には「福祉のまちづくり条例」や「建築物バリアフリー条例」があり、「点字ブロックの設置・整備」に関する条例を制定・改正・施行し、ひろく都民や団体へ関与を求めておきながら、為政者や自治体側が遵守していません。
その象徴的な出来事が「白いワゴン車」なのです。
公園や路上や駅周辺など地域社会は常時ごった返しており、都民からの連絡、通報、団体の積極的な発言が繰り返されているのに「完成形」を見せられないままです。為政者には足元から見直し、業務は結果を出すよう、強く要請しておきたいと思います。
関連してご覧いただきたい
■半場 憲二(はんばけんじ)
メンタル心理ヘルスカウンセラー 福祉心理カウンセラー 日本語教師