韓国以下の賃金の国をどうするか?日本経済再生の処方箋①
平均賃金が韓国と比較して低いことが話題になっています。実際のデータを見ると
日本:38617ドル
韓国:42285ドル
アメリカ:65836ドル
となっています。もう日本は先進国、超大国、豊かな国という意識は改めた方がいいかもしれません。物質的な豊かさは置いておいて、自殺者がこれほど多いストレス社会で「心は豊か」とも言えないので、豊かではないのでしょう。
数字が示す「現実」
年度推移を見てみましょう(上記図)。そうすると、2015年にはすでに韓国に抜かれていることがわかります。アメリカとは差が開きました。アベノミクスの時代に「日本は凄い!」論がメディアでよく見られましたが、その時すでに厳しい状態にあったということなのでしょう。
さて、この数字を前にして皆さんはどう思うでしょうか?
本当?まさか?やっぱり?海外の物価の高さを考えると当然?
新型コロナウィルスによる経済停滞で余計に厳しくなってくる今、まずはその状態を確認する必要があります。実際のところ、イメージとしてまとめると以下のようになります。
この図のなかでも、大事なのは・日本産業はスカスカになってしまったことです。「部品産業」に転落してしまいました。どういうことか、液晶、半導体、アンテナ周りの製造業はそれなりに強く、とっても優秀な「ものづくり」ができているとは思います。しかし、最終製品で世界に太刀打ちできているわけではないのです。価格決定権のある最終製品を市場に出す会社の下請けになってしまったり、日本市場に引きこもったりしています。20世紀のように海外に行っても、自動車以外に日本製品をめったに見かけなくなりました。
2000年代の改革が不十分で産業構造の変化が遅かった、と個人的には思っています。失礼な言い方ですが、ロスジェネ世代の私から見ると、この20年近くにわたって経営者だった方、日本のかじ取りをしてきた政治家さん・官僚の方々、デフレがどうのこうので処方箋を出せない経済学者や評論家、「自己責任論」でその結果責任を個人に転嫁した責任を痛感してもらいたいものです(偉そうですみません)。
しかし、その人たちの「失政」「失敗」というのはあまりにもかわいそうです。なぜかというと、いまだ日本社会は権威主義や空気がはびこり、10年前に失言で問題を起こした有力政治家をはじめ、年長の有力者があらゆる場面に「君臨」していて権力を持っていて、しかも、利害関係が錯綜していて誰かが困ることは先送りせざるをえなく、なんとなくの「空気」が支配し、革新的・創造的な仕事がしにくく、失敗すると糾弾されたりするようなリスク社会になってしまったからです。
理由は何か?
理由を探ってみましょう。
- 経済成長が止まった?
- デフレを克服できなかった?
- 1人当たりのGDPが低い
- 生産性が低い
- 大企業は内部留保を確保して労働者に賃金を出し渋った?
- 過剰な規制や手続きが多く、会社をやっていると業務の負担が多い?
- 業務において残業など無駄な仕事や前例踏襲の業務が多い?
- 大企業を優遇しすぎた?
- 労働者や労働組合の力が弱く、労働者に安心できる賃金を保証できなかった?
などなどが原因としては考えられます。
実際のところ、理由は複合的でしょう。大企業と中小企業では事情が違いますし、単純に「〇〇のせいだ!」というのは安易にすぎます。それぞれがそれぞれの事情があるわけで、何が悪いということは言えないと思います。
とはいえ、バブル後に世界市場で何が必要かを見誤った、戦後の高度経済成長を神話として過剰に信奉した、痛みを伴う改革を先送りしたということはあるかもしれません。個人的には、世界の消費者が求める製品やサービスを開発できなかったことに尽きると思っています。
経済不調→家庭も企業もコストカット→デフレ進行→社会にお金が回らない→高齢化や少子化の不安・・・
という悪循環が回ってしまったのは仕方ない面もあるかもしれません。そうなると企業も単体では生き残るための方策をとるのは当然ですし、個人もそうです。とにかく世界的な競争に負けたことは事実なわけで、その責任追及には意味がありませんし、その理由を考察していくことが大切でしょう。次回はそれを考えていきます。