首相の外交相談役が田原総一郎氏で大丈夫か

篠田 英朗

菅首相に、ジャーナリストの田原総一朗氏らが、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権侵害や香港、台湾への圧力などの問題をめぐり、「日本は独自の方法がある」と伝えた、という記事を見た。

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すでにこの記事に殺到しているコメントに書かれているように、田原氏が首相に人権対応での「日本独自の方法」なるものを主張している情景には、驚きしかない。

「日本独自の方法」とは何なのか。

まさか全く中身がない言葉を、無責任にも首相にすりこもうとしているのではないか。強い疑いが残る。もしそうであったら、許されざる行為だ。

もし精緻に考え抜かれた中身があるというのなら、田原氏は、日本国民に向けて、それが何なのか、しっかりと説明するべきだろう。

ミャンマーで残虐な人権侵害が続いている。宮家邦彦氏のような外務省OBらが繰り返し「日本はミャンマー軍にパイプがある」といった言葉で、人権問題に対応するのは性急だといった意見をメディアで述べ続けた。

「パイプ」があるなら、早く使うべきだ。

もしフワッとした気持ちで中身の全くないことを「パイプ」といったいい加減な言葉で表現し、「とにかく人権問題に対応しろと外務省に言うのはやめましょう」、といった結論だけをすりこもうとしたとしたのであれば、ミャンマーの人々だけでなく、日本国民もバカにしている。

メディアも、意味不明の言葉を羅列して印象操作だけをしているのではないかという疑いが残る報道だけをして、終わりにするべきではない。発言の内容をしっかり確かめて伝えたり、後日責任を問う検証記事をしっかり書いたりするべきだ。

言論人には、言論人としての責任があると思う。発言する者も、伝える者も、国民に対して負っている責任を、真剣に考えるべきだ。