緊急事態宣言が解除された後も、東京都内の飲食店の多くは20時ラストオーダー、21時閉店といった「真面目な」営業を続けています。私が経営するSHINOBY’S BAR 銀座も営業時間を短縮しています。
一方で、緊急事態宣言下でもお構いなしに20時以降も営業を続けている「やんちゃな」お店も少なからず存在します。このようなお店には他店が閉店してから大量の利用客が押し掛けています。
緊急事態宣言明けに出かけた新宿3丁目も大半のお店は21時閉店。その中で通常営業しているお店は、通常はすぐに入ることができるのに、この日は満席。外に順番待ちができていました(写真)。
入り切れなかった人たちは営業している別のお店を探し回り、どのお店も満席。お店から出る人がいると、すぐに次のグループが入ってくるという状態です。
飲食ニーズがあるのに、営業を自粛している店舗が大半ですから、お店が開いてさえいれば「コロナ特需」の恩恵に浴することができるのです。いつもは閑散としている飲食店から見れば、これは止められません。
コロナ感染拡大を防止しなければならないのに営業する飲食店や、そこに行くお客さんは不謹慎だというコロナ警察からの意見もあるかもしれません。しかし、特に大型の飲食店は、営業しなければ売上が立たず、家賃などの固定費で経営破たんしてしまうという切実な事情もあります。何もしなければ、コロナに殺されるのではなく、自粛要請に殺されるのです。
確かなことは、中途半端な飲食店の営業に対する行政の対応によって、自粛に協力している「正直者が馬鹿を見る」ことになり、営業している飲食店に三密状態が発生し、むしろコロナ感染リスクが高まる可能性があるということです。
そもそもお店にいくのが悪いという建前論を振りかざしても、この問題は解決しません。様々な規制や自粛要請を行うのであれば、このような歪んだ状況をリアルに受け止め、それに丁寧に対応していくのが、行政の役割ではないかと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。