乳幼児にジュースは逆効果!WHOも不適切とする広告

まだまだ上手に食べられない1歳児。栄養バランスや味覚形成のために「もう一品」果汁100%ジュースあるいは野菜ジュースを与える。

これは統計調査に基づくエビデンスに基づくと、「栄養失調や味覚への悪影響につながる、やってはいけないこと」であるのをご存知でしょうか。

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「幼児のみもの園」は「6か月から」と書かれた果汁飲料・野菜ジュースの販促サイトですが、このキャンペーンは不適切で消費者の誤解と健康被害を招くため、商品PRの方針転換が必要だと考えられます。

これは我々歯科業界からの口腔保健情報の周知が不十分だったために起こったものです。メーカーの皆様は子供の飲食に安全安心な商品を共につくっていくパートナーであり、今後ともしっかりとした情報共有の必要があると痛感しております。修正が必要な部分は「健康に良い」とした形で子供に対しジュースを広告することです。

以前記事にした通り栄養・電解質補給などの目的で子供がフルーツジュース・野菜ジュース・スポーツドリンクを摂取することは不要であり、むしろ悪影響が大きいことがわかっています。これは果汁100%であっても同じです。

(関連)「おやすみポカリ」特設HP閉鎖。虫歯予防デーの奇跡 ― アゴラ

まず上記の広告はWHO(世界保健機関)の勧告に反しています。

  • 高い糖分を有する飲食物に関して、子供に対するあらゆるマーケティングと広告を制限する。
  • 公共機関・学校における食環境を改善するために、高い糖分を有する飲食物の販売を制限する。
  • 清潔な水は「歯の安全」に資する飲み物であると周知する。

(参考・一部抜粋・著者訳)Sugars and dental caries – WHO

つづいてアメリカ小児科学会からは以下のように推奨されています。

  • 1才未満の乳児はジュースを飲むべきではない。必要な栄養と水分を摂取するためには母乳か人工乳もしくは水で十分である。
  • 1才から6才はジュースの接種を1日120ml以内に制限すべき。

(参考・一部抜粋・著者訳)Fruit Juice in Infants, Children, and Adolescents: Current Recommendations – American Academy of Pediatrics

これらは国内の小児科医も共有する見解で、1才未満でジュースを摂取することではミルク・離乳食の接種量が少なくなるため栄養不足・低体重につながり、味覚形成にも悪影響を及ぼし、虫歯になりやすい食習慣になってしまうとされています。

(参考)あなたの赤ちゃんに「ジュース」を飲ませてはいけない4つの理由 ― ブルーバックス

それでは子供の栄養バランスに悩む、保護者の負担は仕方ないのでしょうか。実は栄養バランスに関しては、「もう少し楽をしていい」のが実際です。

病気など特別な事情がない限り、1食ごとに栄養バランスを考えるのではなく、1週間トータルで考えるほうが合理的とされています。

つまり一食の栄養バランスを補完するために「もう一品」あえて健康リスクのある野菜ジュースを飲ませるよりも、明日もしくは明後日の献立の内容で補えば良く、一食のために何品目も準備する縛りから解放されます。

公衆衛生の普及を責務と位置付けられている歯科医師免許を持つものとして、このような歯科医療情報発信の不足による不適切な商品広告・健康情報を招いたのは、業界全体として反省しなくてはなりません。

今後ともエビデンスに基づく医療情報をより積極的に、繰り返し発信していく必要性があると感じております。