日本人が知らない世界標準の働き方

欧州で実際に働いているめいろまこと谷本真由美さんの目線から見た世界標準のキャリア論です。「世界標準」と言っても、決して意識高い系のお話ではなく、逆に意識の重心を低くして世界の厳しい現実を見ましょうよというサジェスチョンです。

氷河期世代で仕事のなくなった日本に見切りをつけ、単身海外でスキルを蓄積されただけあって、それだけにその言葉には重みがあります。想像(というよりは妄想)だけで海外を美化する日本の「知識人」とは説得力がちがいます。

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ひとりだけ変化に気付いてない日本人

日本が直面する経済環境や世界の情勢は大きく変化しています。けれども、日本人の働き方は、高度成長期の頃のままです。長年勤務しなければ、高い報酬を得られない仕組みになっています。その間、会社が存続するかもわからないのに、です。

先進国では、転職を繰り返すのが当たり前で、重要なのは「何をやってきたのか」です。正社員と非正規雇用の境目は曖昧で、正社員の管理職以上の報酬を得る非正規雇用のコンサルタントや技術者が大勢いるそうです。

問題が起きているのは「外部環境の変化」なのに、多くの日本人は「自分に問題がある」と思い込んでしまうから「働き方」で悩む人が多いのです。古い環境の中で成果を出そうとしても、その努力は徒労に終わってしまう可能性が高いです。

こちらが悩んでもどうじようもない世界的に拡大する格差

谷本さんは、親族の方や身の回りに、明るい未来を信じて何十年も会社や役所に奉仕しても、病気の体や、子供も友達もわからなくなってしまう老後を迎えた人を何人も見てきたそうです。

そんな中で思い至ったのが、働き方を選ぶということは「豊かさとは何なのか」ということの問いかけだそうです。

そして、働き方の激変により悩む人が増えているのは、実は日本だけではありません。その変化の根源にあるのは、グローバルな規模での経済構造の変化です。それは「カイシャ」というシステムの終焉になります。

日本も「働き方の激変」にのみ込まれている

環境の激変は、日本の雇用環境の変化にも影響を及ぼしています。賃金上昇、終身雇用、企業に組み込まれた組合が機能してきたと思われました。終身雇用が前提なので、若者を雇用して年齢によって徐々に賃金が上がっていくという制度の中で、働く人は安定を保障されて中長期で仕事に取り組んでいました。けれども、この仕組みは、実はもうかなり前から崩壊しているのはご案内のとおりです。崩壊しているのに、みんな崩壊していないようにふるまおうとしているので、無理が生じています。

働き方に悩む暇などない

これはただ単に企業がコストを抑制しているからということではなく、グローバルな規模で、賃金が最適化されている流れに沿っているだけなので、この変化に日本の働く人々ものみ込まれてしまっています。

そのためには、仕事の未来を予測して「やりたい仕事」ではなく「求められる仕事」をすることだと言います。そして、今後仕事を選ぶ際に重要になることに「市場で評価されるかどうか」がより重要になってきます。この感覚は、長年サラリーマンをやっている方や、学生さんの中には、理解していない方が少なくありません。これは日本のキャリア教育や大学教育からはすっぽり抜け落ちてしまっているからおそろしいものです。

私たちは働き方などに悩んでいる余裕はとてもありません。今50歳の人でも、もしかしたらあと30年近くは働かなくてはならないでしょう。繰り返しますが、「世界標準の働き方」は意識高い系の働き方ではありません。われわれは望むと望まざると、その働き方の濁流に飲み込まれる運命にあるのです。