(自治体ワースト50には新宿区・中野区も…)
人口4,000万人以上の国32カ国で日本は子どもの割合が最低
総務省が5月5日の「こどもの日」に合わせて、2021年4月1日現在におけるこどもの数を公表した。
昨年も同様にコラム『【自治体ランキング】世界で最も子どもの割合が低い日本。自治体ワースト50には23区から4区…』を書いたが、日本の子どもの数は前年からさらに19万人減の1,493万人で、1982年から40年連続の減少となり、過去最少をまた塗り替えた。総人口に占めるこどもの割合は、11.9%となり、こちらは47年連続の低下となった。
こどもの日に毎年、真剣に考えていかなければならないと考えさせられるのは、11.9%というこの国のこどもの割合が、人口4,000万人以上の国32カ国での比較で、最も低い国になることだ。(※総務省統計トピックスNo.128)
子どもの割合が最も高いのは沖縄県、未成年者数は東京都はワースト5位
今回、総務省が公表した資料には、昨年まであった都道府県比較がなくなっていたので、2020年の住民基本台帳に基づき都道府県比較を作ってみた。
ここで考えたいのは「子ども」って何歳から何歳までだ?ということだ。
総務省の公表資料では「こどもの数」を15歳未満人口としている。
これは、15歳~64歳が「生産年齢人口」と想定されており、65歳以上を「老年人口」、14歳未満を「年少人口」として、この年齢区分が「年齢3区分」として国際的な調査においても使われている分け方になっているためだ。
今回、以下の地域別においては、この年齢3区分による年少人口となる0〜14歳のほか、成年年齢である20歳未満となる0〜19歳も併記してみた。
2018年に成人年齢について『法案成立で2022年から「18歳成人」は何を変えるか』を書いたが、来年2022年4月1日には、改正民法が施行され、成人年齢は18歳となる。
このことはあらためて書いていこうと思うが、そもそも「子ども」とは何歳なのか?についても考えていく必要がある。
地域に目を向け、子どもの数を都道府県別に見てみると、子どもの数が100万人を超えるのも東京都、神奈川県、大阪府、愛知県の4都府県となった。
人口で見ると大規模都市に子どもが集まっているように見えるが、人口に占める子どもの割合で見ると、最も高かったのは沖縄県の16.9%で、次いで滋賀県が13.9%、佐賀県が13.6%と昨年と全く同じ順序だった。最も低いのは秋田県の9.8%で、次いで青森県が10.7%、北海道が10.9%とこちらも昨年と全く同じ。東京都も11.6%と昨年から0.4P上がりワースト6位からワースト11位となった。
子どもの割合は昨年同様、最高は豊見城市(沖縄県)、最低は歌志内市(北海道)
昨年同様、全国815市区の子どもの割合のランキングを作ったので紹介したい。
国内の市区で最も子どもの割合が高かったのは豊見城市(沖縄県)で19.8%だった。2位は昨年の3位から1ランクアップの合志市(熊本県)の18.4%、3位は1ランクダウンの長久手市(愛知県)の18.3%だったが、今年もベスト10の中に沖縄県が8自治体とその殆どを占めた。
一方で、子どもの割合が最も低かったのは、歌志内市(北海道)の4.9%、次いで夕張市(北海道)の5.6%はじめ、ワースト5の中に北海道が3自治体入った。
こうして見ると地域の偏りも見える。
東京都でベスト50位までに入ったのは14.6%で49位になった稲城市だけ。
東京神奈川千葉埼玉の4都県では、印西市(千葉県)が9ランクアップの19位、流山市(千葉県)が11ランクアップ24位、戸田市(埼玉県)が昨年と同じ45位、吉川市(埼玉県)1ランクダウンの50位となっただけで、昨年から1つ減った5市だけだった。
一方で23区でワースト50の中に入った区は、8.8%で14ランクアップして773位の中野区と、8.9%で9ランクアップの770位の新宿区だけの2区となり昨年から半減した。
東京以外にも神奈川千葉から、1ランクダウンの808位に勝浦市(千葉県)、同じく1ランクダウンの800位に銚子市(千葉県)、昨年と同じ795位に南房総市(千葉県)、2ランクダウンの790位に三浦市(神奈川県)、3ランクダウンの778位に富津市(千葉県)、6ランクアップ696位にいすみ市(千葉県)と、昨年同様、千葉県の自治体が多く入っている一方で、埼玉県から入った自治体はなかった。
人数で言えば子どもや若者が集まっている首都圏4都県だが、割合で言えばむしろ少ない自治体も多いことが見えてくる。
ちなみに筆者の地元の市川市は、人数で見ると58,226人で40位と高順位のものの、割合で見ると11.9%で 398位と昨年からさらに6ランクダウンだった。未成年者の割合で見ると16.1%で472位と」さらに大きくランクは落ちる。
こうした自分たちの住む街ごとの状況を知っていくことも大事なことだと思う。
非常事態だからこそ、子どもたちの未来を見据えた環境の創造を
昨年も書いたことだが、子どもの教育は、基礎自治体に委ねられている部分も多く、また子育て環境の整備は自治体間格差が指摘されることも多い。
新型コロナウィルスの影響も1年経っても引き続き大きな課題となっている。
ポストコロナを見据えた新たな教育環境、子育て環境をどう創っていくかは、今後の大きな課題と言える、
少子化は先進国共通の課題ではあるが、ヨーロッパなどではこうした子どもたちの環境をより良くしていくために、子どもたちもまた主体者として捉え、子どもたちに関わる問題は、当事者である子どもたちにも参画させる取り組みも多い。
いよいよ来年は、成年年齢の18歳への引き下げとなる。
子どもや若者の参画の現場は、国政というよりは、地方自治体現場の方が可能性は大きい。
筆者も昨年度から神奈川県のDXに携わりはじめたほか、熊本市などで教育にも携わらせてもらっている。
国立社会保障・人口問題研究所の人口推計を見ると、年少人口の減少は今後も続き、2056年には1,000万人を割り、2065年には898万人規模になると推計されている。
こうした時代の中だからこそ、さらに長期的な視座に立ち、世界で最も子どもの割合の低い国として、この国の子どもたちをどう育てていくのか、また地域地域で未来を担う子どもたちにどういった環境を創っていけるのか、この国の未来を考える機会にしたい。