日本政府、インドに55億円追加支援は正しいか

茂木敏充外相は5月5日、訪問先の英国でインドのジャイシャンカル外相とオンラインで会談、新型コロナウイルス感染の深刻なインドの現状を踏まえ、日本政府として最大約55億円の無償支援を追加で行うと伝達したという。インド側から要望がある人工呼吸器と酸素濃縮器の提供などに充てるといい、日本政府は4月30日には、人工呼吸器と酸素濃縮器を各300台提供すると決めていた。コロナに苦しむ国に支援の手を差し伸べるのは、悪いことではない。良いことだ。また、中国の脅威に対抗するために、インドと緊密な関係を築いておくことは、安全保障の観点からも重要であろう。

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本来ならば、諸手を挙げて賛成と言いたいのであるが、しかしその一方で、このくらいのスピード感をもって、自国内のコロナ対策に邁進してほしいと日本政府に感じるのは私だけであろうか。また、55億円もの巨額のお金を、経済的に苦しむ日本人や国内のコロナ対策に回せないものかと考えるのは私だけか。または、消費税の減税など、できることは沢山あるのではないか。今の日本が、真の意味の「緊急事態」か否かの考察はここではおくとして、一応、日本政府は緊急事態宣言を発令し、国民に自粛や負担を強いているわけである。また、政府や自治体は「医療崩壊」と主張しているのである。

そうであるならば、まずは、自国内の対処をしっかりとしてほしい。その上で、同時並行的に海外を支援するべきではないか。自国の「緊急事態」や「医療崩壊」を何とかできずに、海外国を迅速に支援するというのは、本末転倒ではないだろうか。日本に他国をそこまで支援する余裕があるのであろうか?

あるのならば、日本政府の怠慢と準備不足と危機管理のなさから起こった「人災」を一刻も早く何とかしてほしい。緊急事態宣言も解除してほしい。私はそう思うのである。菅内閣というのは「国民のために働く内閣」ではなかったか。今のままでは、自国民に過度な負担を強いて、海外国を援ける内閣と言われても仕方ないだろう。