子どもの日も過ぎたので21世紀を生きる力の育成について考えた

政府はGIGAスクール構想を推進しているが、すでにおよそ98%の小中学生にデバイスの配布が完了、あるいは完了のめどが立ったという。

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次の課題は、一人一台端末を教育の中でどう活用するかである。

デバイスを上手に利用して教育することに教員が慣れているわけではない。文部科学省は教職員支援機構を通じて教員向けのオンライン研修素材を用意し、教育力の向上を図ろうとしている。対面型よりもオンラインのほうが教員を束縛しないし、感染症蔓延という事情もあり、オンライン形式での研修に力を入れているわけだ。

さらに、ICT活用教育アドバイザーGIGAスクールサポーター、ICT支援員が配置されつつある。現場で活動するのがICT支援員で、授業計画の作成支援、ICT機器の準備・操作支援、校務システムの活用支援等を行う。地方財政措置で、4校に1人分、政府が費用を負担する。

しかし、最も重要なのは教育内容である。20世紀型の「読み書きそろばん」を越えて、21世紀を生きる力、すなわち、論理的思考力を育成しなければならない

ICTを「ドラえもんのひみつ道具」のように利用するだけでなく、できるだけ多くの子どもが「ドラえもんのひみつ道具を作ってみよう」と考えるようになれば、将来、彼らは新しいサービスの創造者になれる。そのために求められるのが論理的思考力である。

文部科学省もプログラミング教育を小学校段階から必修化するなど、論理的思考力を育成する方向に初中等教育の比重を移しつつある。

文部科学省よりもさらに積極的なのが経済産業省である。同省は「未来の教室」実証事業の下でSTEAM(Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematics)教育に注力し、教材を用意するとともに教育実践の好事例を公開している。東洋経済オンラインにも取り上げられた。

STEAMあるいはSTEMはすでに公教育の世界的な潮流で、たとえば米国連邦政府の教育省にはSTEM教育の詳細を紹介するサイトがある。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、経済産業省の浅野大介課長をお招きし、5月26日に「GIGAスクールを活用した教育:現状と課題」と題するZOOMセミナーを開催する。どうぞ、ご参加ください。