日医会長のパーティー参加から分かるコロナ対策の本質

日本医師会の中川俊男会長が先月の4月20日、東京都に「まん延防止等重点措置」が適用される中、東京都内のホテルで行われた自身が後援会会長を務める自民党の自見英子参院議員の政治資金パーティーに出席していたことが問題となっている。このパーティーには、医師会常勤役員が中川氏を含め、14名参加したという。

NHKより

中川氏と言えば、これまで、政治家の会食に「全面自粛を」と苦言を呈したり、国民にステイホーム生活をはじめ感染対策を求めてきたことで知られる。その中川氏が、感染症対策をしているとは言え、100人規模のパーティーに参加したのだから、「自粛」を強いられている国民からの批難が集まるのは当然と言えば当然だ。それほどまでに、感染症対策を求めてきたのならば、オンライン参加もできたはずである。リーダーというのは、率先垂範すべきものなのだ。

一方で、日本医師会の会長が100人規模のパーティーに参加したことは、新型コロナ問題の本質も併せて浮かび上がったように思う。それは、マスク・消毒・社会的距離をとるなどの感染症対策をとれば、現在、休業要請が出ている百貨店や映画館・美術館なども営業して良いということだ。

緊急事態宣言の内容というものは、百貨店への休業要請といい、飲食店への休業・時短要請といい、これが本当に意味があるのかというものばかり。飲食店等を経済的に苦境に陥れ、日本経済をも低迷させてしまう愚かな策としか言いようがない。もちろん、これが天然痘やコレラ・エボラなどの感染症が蔓延しているならば、自粛を強いるのも仕方ないと思うが。

それに考えてみてほしい。日本の大多数の企業が社員に出社を求めている現状を。社員の命を真に危険に晒すような感染症ならば、企業も社員に出社を求めないし、社員も会社に出勤することはあるまい。もちろん新型コロナというものは、引き続き注意は必要ではあるが、国民に過度な自粛を求める緊急事態宣言を出すほどの対応は、今の日本においては必要ないということだ。そのことが、一年かけて明らかになったと言えよう。

現在、発令されている緊急事態宣言は、「医療緊急事態宣言」だと説く人もいる。そうであるならば、医師会会長や幹部がやるべきことは、パーティー参加ではなく、「医療体制のひっ迫」を一刻も早く改善するために奔走することだろう。