テレビが報じた「居眠り天国」の茨城県議会

芦田 祐介

3月29日に報道された「Live News イット!」(フジテレビ)が「議会中の政治家を勝手に観察」と称して茨城県議会の本会議場の映像を報じた。そこで「居眠り天国」となっている茨城県議会の実態が明らかになったのである。

議会中の政治家を勝手に観察 年収1400万円超えでも“爆睡”【追跡スクープ】

議場にテレビカメラが入ると海野透議員、西條昌良議員、葉梨衛議員、白田信夫議員、飯塚秋男議員、山岡恒夫議員(いずれも自民党)など議長経験者8名が居眠りしていたのである。

茨城県議会HPより

とくにひどいとクローズアップされたのが、山岡恒夫議員である。なんと5日連続で居眠りしていたのである。会議に出席して「居眠り」するのが「議員の仕事」と勘違いしているのではないか。

また「読書議員」として紹介されたのが半村登議員(自民党)である。半村議員は『ヤバい選挙』(宮澤暁著、新潮新書)という書籍を6日連続で黙々と読んでいたのである。当該書籍は、「『放送禁止用語』連呼の政見放送」や「バキュームカーで選挙活動」といった『ヤバい選挙』を紹介しているものであるが、「読書議員」と紹介された半村議員こそ、次の選挙は違う意味で「ヤバい」ことになるのではないか。

当該報道により県議会事務局には苦情が殺到。そのため3月31日付けで議長が全議員宛てに「茨城県議会の規律確保と県民の信頼回復について(通知)」という文書を発出(HPにて全文公開)。テレビ報道は「県民の信頼を失いかねない大変遺憾なもの」であったため、「今後の議会活動を通して県民の信頼を回復していかなければな」らないなどとしている。

さらに県民からの意見を取りまとめた文書も各会派の代表者に配布された。今回、筆者は県議会に情報公開請求をおこない、当該文書を入手した。

これによると4月13日までに寄せられた苦情総数は125件。内訳は電話65件、メール58件、郵送2件。

一部を紹介すると「全国ネットで放送され、恥ずかしい。個人名まで出されて、へらへら笑って取材を受けている場合ではない」(3/29・電話・男性)、「こんなことをしている議員に税金で1400万円も払われているなんて、県民税を払いたくない」(3/30・電話・女)、「コロナで大変な時に、ムカつきます。議員の報酬をコロナで大変な人たちにまわしてほしい」(3/30・メール)、「魅力度ランキングでやっと最下位を脱出した。こんなことで地位を下げられたら困る」(3/31・メール)、「居眠りしている暇があったら県民の意見を聞きに歩いて回り、県民の生活を考えるのが議員の役目だ」(3/31・電話・女)などとなっている。

なかには「名前が出てきたやつらは次はないと思え。出馬するようなら潰しに行ってやる」「俺は甘くないから、徹底的にやってやる」(3/31・電話・男性)という脅迫的な内容まであった。

彼ら県議会議員は、選挙戦となると声を枯らしながら選挙区内を走り回っている。選挙戦は、まさに生きるか死ぬかの戦いであり、候補者は極度の緊張・興奮状態となっている。選挙事務所や選挙カーで居眠りしている候補者などいない。

ところが選挙戦が終わり、平時になると、その緊張・興奮状態は一気に失われる。次は「睡魔」との戦いになるわけである。厳しい選挙戦を勝ち抜いた候補者が、「睡魔戦(すいません)」となると、あっさりと戦いに敗れてしまうのでは笑い話にもならない。

次の茨城県議会議員選挙では「居眠り議員」と紹介された方々は「居眠りしないこと」を公約にするべきではないだろうか。