今週のつぶやき:五輪やる、やらない?ほか

外から見ると今の日本はコロナと行動制限と見えないリスクであらゆることがおかしくなっている気がします。イライラしていて物事をきちんと捉えられず、目先のことに振り回され、マスコミは針小棒大な記事ばかり。昨日も日本のテレビニュースを見ていてコメントや解説者のスタンスがあまりにもネガティブで思わず画面に向かって声を上げてしまいました。そんな日本に遅すぎる春は来るのでしょうか?

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では今週のつぶやきをお送りします。

荒れた市場、これは台風一過なのか、まだ先があるのか?

激震と言ってもよいでしょう。まるで昨年春の株式市場がフラッシュバックしたような感すらあります。東京市場は3日間で2300円の下げ。NYダウは1400㌦の下げ。チャート的にはダウは下値不安はなさそうで東京は月曜日次第ですが、金曜日比約400円高の28500円は奪取しないと日本一人負けになるかもしれません。日本株が弱いのは今回は日本独自の問題が大きいと思います。つまりコロナ対策。

市場全般では引き続き資金は潤沢にあり、インフレの行方ももう少し見守る必要があります。本日発表のアメリカ4月度小売売上高は前月比変わらずでしたので需要の落ち着きが出てきた可能性はあります。夏に向かい、心理的にも開放されやすいのですが消費の底は知れているとみています。住宅や自動車も含めた需要もいったんピークアウトしたはずです。アメリカ東部のパイプラインが回復したこともガソリンなど物価上昇を抑えることになります。

今後ですが第1四半期の決算発表が概ね終わり、好決算にもかかわらず売られた銘柄が多かったのでそのあたりの安値拾いの買いが今後1-2カ月は続くとみています。東京市場は一部小型株が乱舞しています。個別銘柄にターゲットを絞った個人投資家の動きがあってもおかしくないと思います。機関投資家は動きが止まり海外投資家はやや腰が引けるような感じもします。注目は東芝で物言う株主を経営陣がどう対応できるのか次第で海外投資家の日本銘柄への投資スタンスが見えてくると思います。綱川氏では乗り切れるかどうか、厳しいかもしれません。

五輪やる、やらない?

この切り口、そんなに簡単ではないと思います。結論から言えば私はやれるならやるべきと思っていますが、ここまで状況が悪化するとコメントするのも難しくなります。五輪は本来であれば日本が一丸となって進めるプロジェクトであり、1年間の猶予があったのでその間に世界に先駆けて安心安全な開催が誰の目から見ても理解できる形になるべきでした。ところがいまさら何を言ってもしょうがないのですが、これほど中途半端なコロナ対策になりました。それこそ、挙国一致体制で知恵を出し協力し合ってしのぎ、その間にワクチンの普及まで含めた国全体のシステムを作るべきでした。が、利害関係の塊で政府が思い切った対策を取れなかったことと未知のことに対する対応適用力の欠如、これに尽きると思います。前例主義のしっぺ返しです。

五輪を仮にやらないとしましょう。私が気になるのは、日本が正常化するのに無限の時間を貰ったような形になり、世界に2歩も3歩も後れを取る可能性があるということです。今はそれでも五輪をやるという緊張感がありワクチンやら様々な対策を一生懸命やっています。いわゆる目標設定です。ところがそれがなくなった瞬間、全てが崩れるのです。当然、今の内閣には不信任案が出るでしょう。解散すれば与党には厳しい審判が下されるかもしれません。菅さんも辞任は免れられないかもしれません。ならば誰が首相をしますか?河野さんはまだその気がありません。安倍さんにピンチヒッターをお願いしますか?それこそ世の中、荒れそうです。

マスコミは市町村幹部の「優先接種」でワンワン吠えています。こんなものは公務と地域を守る重要な役割を果たす役所の幹部の接種は優先されるという方針を決めておけばよかっただけなのです。電話がつながらない話もカナダは年齢を5歳区切りで進めています。人口比からしたら日本は2-3歳区切りで並ばせない、電話もパニックにならない様な対策はあったはずです。五輪を政府はなんだかんだ言ってやる気だと思いますが、今のスタンスからはかなりスケールダウンしたミニチュア版のような開催になると思います。それも小池さんが反旗を翻さなければ、です。最近のだんまりが気になりますが世間の反対の声を待っているのでしょうか?

民間宇宙飛行、その意味は何でしょうか?

前澤友作さんの宇宙飛行が現実になりそうです。12月にISSに向かい、12日間滞在する予定で訓練が開始されています。私は以前から不思議だったのです。民間人として宇宙に行く価値は何処にあるのか、と。彼が資金力にものを言わせ、月にもいくと言っていたと思いますが、そのミッションを完了した時、彼は次に何をするのでしょうか?私は日本人宇宙飛行士がたくさん生まれ、世界をリードするほどになっていることに大きなプライドを持っています。それは科学者としてのプロフェッショナリズムの結晶です。ではいわゆる「宇宙観光」となった場合、それがその人の人生にどう影響するのでしょうか?

子供が宇宙飛行士になりたいと夢見たのは若田さんや野口さんのような人でその世界の最高峰です。他方、その世界のプロではない人が感じる宇宙は全く違う感性で見えるのだと思います。青い地球というより自分の立ち位置が微生物のように小さくて地球上で起こり得る無数の問題が「なぜそんなことでいがみ合うの?なぜそんなに唯我独尊なの?なぜ人々は心にゆとりがないの?どうして幸せになれないの?」といったことでしょうか?

私なら宇宙比べ、地球は恵まれた環境とテクノロジーと人類の進化で歓び溢れる奇跡の惑星だと感じるかもしれません。我々の目から見える宇宙には文明どころか生命の存在すら確認されていません。快適な衣食住、コミュニティがあり、自由があり、人々と繋がっている嬉しさを感じることでしょう。私が宇宙から戻ってきたら以前にも増して働くかもしれません。そして働ける喜びを分かち合い、達成感を共有し、立ち上がり、声を出せる勇気があることに人間としての自負を思うことでしょう。前澤さんがどんな行動を起こすのか、私は楽しみでなりません。

後記

業務上、当地の図書館に1回当たり数百冊納品するため、その選書リスト作成は骨が折れる仕事です。書店員でも困難なあらゆるジャンルの書籍を空いている時間に必死でチェックし、売れ筋のトレンドを読みながら確認していきます。このところ、女性作家の人気小説を結構読んでいるのですが、ライトノベルの域を出なくて読みやすい分、感動を無理やり作り出した感じがして展開がナチュラルではないのです。作家は机の上で作品を書くべきではありません。膨大な取材と社会経験がなければ空虚な作品になりがちでこれでは読み流して終わり、後世に残る名著は出ないですよ。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年5月15日の記事より転載させていただきました。