2021年5月15日、ANN(テレビ朝日がキー局)は次のような見出しを掲げ、新型コロナ関連の放送を行った。
「東京 コロナ感染者11人死亡 10人超は1カ月半ぶり」
この見出しを見て、視聴者は何を思うだろうか?「えっ、コロナで人が1日に11人も一度に亡くなったの!怖い!」ーこう思う人がある程度いてもおかしくはないのではないか。
しかし、実は11人というのは1日で亡くなった人の数ではない。11人のうち、8人は2月から4月にかけて亡くなっているのだ。テレ朝ニュースのホームページ上の記事本文にはそのことが記載されている。しかし、同じサイトにある、女性アナウンサーが読み上げる動画には、「ただし8人は2月から4月にかけて亡くなっています」との文言がないのだ。これだと、放送だけ見た人は「今日は11人も亡くなったのか」と誤解しても仕方がないであろう。
意図的に視聴者の恐怖を煽ろうとして、このような報道をしているのであろうか。それとも、単純なミスであろうか。私にはよく分からないが、それより何より、「東京 コロナ感染者11人死亡 10人超は1カ月半ぶり」という見出しに「悪意」を感じる。
繰り返すが、ニュース動画だけを見たら、どう見ても、1日にコロナ感染者が11人亡くなった、そして、1日の死亡者が10人を超えるのは1ヶ月半ぶりなのかと思ってしまうだろう。
亡くなられた方には、謹んで哀悼の意を捧げる。そのうえで、マスメディアのコロナ報道に文句を言いたいのが「東京 コロナ感染者11人死亡 10人超は1カ月半ぶり」というような人々の恐怖を煽るような報道はしないでくれということだ。
東京都の死者は5月14日は1人である。その前日は2人である。同じ報道するなら、冷静に恐怖を煽らない放送をしてほしい。
もしかしたらテレビ局の人のなかには「1人や2人の死亡者数ではニュースにならない。もっと多く見せなければ」との意識がどこかにあるのではないか。そうでなければ、冒頭の見出しにならないように思うのだ。
しかしそれは報道という名目で死者を冒涜する行為ではないのか。「人権を尊重」するテレビ朝日に反省を促したい。