残り1か月の国会、見えてきた様々なこと

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第204回国会(通常会)は6月18日まで

1月18日に召集され、コロナ国会としてはじまった通常国会も、6月18日で幕を落とします。残り1か月、色々ありましたが振り返って印象に残ったものといえば、与党にも野党にもそれぞれ成果以上に浮かび上がった課題の重さを改めて感じます。振り返るにはまだ早いかも知れませんが、不偏不党の立場でそれぞれの至らなかった点、改善を求めたい点を整理しておきたいと思います。

まず本業、予算および法案の審議や請願、質問はどうか

衆議院のサイトでは、これまでに審議されてきた法案の一覧が参照できます。参議院にも同様の情報が公開されていますが、ここではトップリンクに留め、衆議院の例を中心に紹介します。(※参議院の今国会情報はこちら。)

たとえば今期、衆議院ではどんな法案が審議されているのか。主なものはこちらで確認できます。

また、有権者の声の反映としての請願はこちらです。ここはもっぱら共産党の独壇場ともいえますが、誰がどのような請願を提出しているかは仕事の一端として評価されて良いでしょう。

時として意外な注目を集める質問主意書は、こちらで見ることができます。本稿執筆時点での総数は回答待ちを含めて133件ありました。政府および内閣に対して出されるものがほぼ大半なので質問者はおのずと野党および無所属議員の比重が高いですが、今期の傾向としてはスポーツ新聞やワイドショーのネタにされそうな失笑を誘う質問はほとんど見られず、真っ向勝負のものが多いです。

一覧したかぎりでは岡本充功議員に松原仁議員、丸山穂高議員などが頑張っている印象を受けました。一過性の質疑に終らせず、継続して政務活動に反映していかれるかどうかが注目ポイントです。

これらの活動はほとんど報じられず、また有権者もよほど関心がなければ日ごろアクセスすることはないでしょう。かつての私もそうでした。しかしながら、マスメディアやSNSを賑わすのはもっぱら視聴率やアクセス数を稼ぐためのものが大半です。そうした「賑やかし」でなく、本当に大事なことは陽が当たらないところで行われている部分が少なくありません。注目されれば、政治家はいい加減な仕事ができなくなります。背筋を伸ばしていただくためにも、ぜひそうあってほしいと願います。

不祥事や選挙、支持率を巡ってはどうか

今期を象徴する出来事としては、会期前の与党幹部らによるステーキ会食をはじめ、所属議員の相次ぐ「夜のクラブ活動」、菅総理自身の子息もふくめた総務省接待の問題、また河井克行・案里元議員や吉川貴盛・元議員らの不祥事に伴う補欠選挙で与党が全敗を喫するなど、与党の陰りが印象に残りました。

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総務省接待問題 深まる疑念さらに解明を | 熊本日日新聞社
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与党に対しては、これだけ弛緩していると「2度あることは3度ある」そう言わざるを得ませんよと申し上げたいです。戦後の昭和期こそ自民党は昭和30年来のいわゆる「55年体制」に守られてわが世の春を謳歌してきましたが、1度目の1993年(平成5)は党の分裂離反により野党の台頭を許す結果となりました。

続く2度目の2009年(平成21)は当時の民主党政権の躍進という見方もありますが、10年以上経って振り返ると、やはり自民党の自滅によるものであったと改めて思います。小泉政権以降の政権たらいまわしは戦中真っただ中を彷彿とさせるもので、これは民主党政権も含めてですが、やはり内閣がコロコロ変わるのはよろしくない。逆に長ければ良いというものでもなく、桂太郎内閣をしのぐ憲政史上最長となった安倍内閣は決して実り多き政権であったとは言えません。

平成期に自民党は2度の下野を味わっていますが、現状を見るかぎり3度目を望んでいるのかと問いたくなります。たとえ当事者が辞任や辞職をしたとしても、政治は「結果がすべて」です。

どうやって弛んだ箍(たが)をはめ直し、再起を図るのか。所属議員はそれぞれ、一連の不祥事をわが事として謙虚に受け止める必要があるでしょう。

一方で野党に期待を寄せられるかというと、まだまだ難しい、準備が整っていないと思わざるを得ません。これは愚直に汗を流す議員の方々の陰で、一部の議員、たとえば〇〇議員や××議員(好きな名前を入れてください)が悪目立ちすることにも象徴されます。

与党にも落第の人は沢山いるし、野党でも優をつけたい人は大勢います。それでも総じての印象は、郷ひろみではありませんが「2億4千万の耳目」を果たしてどれだけ意識されているのか、そこが自公与党に政権を明け渡すことになった一番の課題だと思うのです。

これは何も難しい話ではなく、本稿を読まれた方の職場でも学校でも、あるいは地域のコミュニティでも各々が属する場に置き換えるとよく分かります。建設的な対案を出さず、自分を棚に上げて文句しか言わないひと。当たり散らすひと。理性的でないひと。そういうひとはやがて煙たがられ、そして嫌われ、最後には干されます。それと同じなのです。そこに気づけない限り、どんなに無党派層へ呼び掛けたとしても一つしか持ち合わせのない票を託すにはどうかなと思うのです。

個人的には「わかむしゃ」に期待したい

ここから先は前項以上に尾崎財団を離れ、あくまでも私個人の見解ですが期待の種がないわけでは在りません。キーワードは「わかむしゃ」手に所属、そして会人経験者に期待を寄せています。

まず若手ですが、与野党に関わらず今後が楽しみな方が育ってきていると実感しています。

たとえば尾崎財団が毎年暮れに発表する「咢堂ブックオブザイヤー」、昨年お贈りした国会議員の方々には落合貴之議員、中谷一馬議員など若手による健筆が光りました。次回作も、私たちは大いに楽しみにしています。

尾崎行雄記念財団ホームページ 咢堂ブックオブザイヤー2020
尾崎行雄記念財団のホームページです。 「人生の本舞台は常に将来に在り」、そして「誰が正しいかではなく、何が正しいか」。 憲政擁護のために生涯を貫いた議会政治の父・咢堂こと尾崎行雄。 尾崎財団は、尾崎行雄の精神と信念を後世にひろく伝え、わが国の議会制民主主義の成熟と発展に寄与することを目的としています。

続いて無所属、昨年お贈りしたうちのお一人は柿沢未途議員でしたが、党派の力学やしがらみから解き放たたれることで見えてくる地平は恐らくあると思います。

かつての尾崎行雄もそうでした。駆けだしの頃は政権の参画を求めてやまず、2度の大臣(文部、法務)を経験するも政治遍歴の大半は決してメインストリームにあったとは言えません。むしろ傍流が大半でしたが、外側から見た権力闘争の虚しさや滑稽さは間違いなく尾崎の眼力を養うことに繋がったと私は見ています。そういう意味では先ごろ自著を出版された細野豪志議員も同様で、きっと今の経験はどこかで活きますよとお伝えしたい。「人生の本舞台は常に将来に在り」ですから。

そして最後に社会人経験者。これは学業を終えてすぐに政治の世界に飛び込む、あるいは官界から転じた人には分かり得ない「日銭を稼ぐ」という感覚が大事だと思うのです。もちろんそうした方々を否定するわけではありませんが、心情としてはやはり社会の辛酸を味わった経験の持ち主を応援したくなります。アゴラの常連陣でもある音喜多駿議員や鷲尾英一郎議員などはもっともっと伸びると思いますし、またそうあって欲しい。

残された1か月、議員の方々が国民のために精一杯働いてくださることを期待しています。