今週のつぶやき:韓国の狂った投資熱ほか

尾身会長の「(オリンピックを)パンデミックの状況でやるのは普通はない」との発言が物議をかもしています。去年WHOがパンデミックを宣言した時と今日の状況を同じ言葉として「普通ではない」というのは少々暴力的です。今の接種計画における7月中旬のマクロデータ分析は他国の実績から推測できるはず。また尾身会長は状況の分析ばかりで今日まで論理的な対策案を出しませんでした。ちなみに本日の当地の新聞のヘッドラインは「免疫の壁に届きそうだ!」。1回だけのワクチン接種率はカナダは世界第2位、BC州に限れは8割に届くところで世界最高レベルです。こういう知恵を私は尾身会長に期待したのですがねぇ。

RomoloTavani/iStock

では今週のつぶやきをお送りします。

買収したものが勝ち

大手メディア、ワーナーとディスカバリーが経営統合してディズニーに次ぐ規模となりそうですが、北米における会社の売買は不動産屋で住宅を買うぐらい容易に動きます。買収による企業の巨大化はスケールメリットを取れる企業にとっては絶対有利です。私が投資しているカナダの2つのパイプラインの会社が買収を発表し、1つになるかもしれません。買収側の声明はそれにより年間300億円のコストダウンにつながる、と。そうなれば株主としては経営効率化と売り上げ増で株価の上昇が期待できます。

つまり北米の株価が日本のそれに比べて大きく跳ね上がっているのは経営効率が過去2-30年でどんどん研ぎ澄まされているからです。短期志向の経営され、それはよくないと日本では否定的意見が多いのですが、経営者は必死で目に見える功績を上げられなければクビになるので、全力疾走のマラソンをしているようなものです。そのスタイルは日本から見れば異論があるでしょうけれど結果が伴っている点で容易に否定されるべきものではありません。

COVIDの回復期は業種により様々なステージがあります。本日発表のアメリカ5月度雇用統計は事前予想を再び下回る56万人増です。これは企業側に理由があるのではなく、労働者側が労働を選択しているためでドライバーがいつもと逆転していることがポイントです。企業はそうなればより一層の経営効率化を求めるわけで北米の買収、経営統合は今後も大いに増えていくとみています。

韓国の狂った投資熱

文大統領が不動産高騰を抑制できなかったとして批判を浴びる一方、その高騰で恩恵を受けた韓国人も多く、若者は不動産は買えなくても暗号資産(仮想通貨)があるさ、とキムチコインと称される仮想通貨に飛びついています。キムチコインの一つ「アロワナ」が4月に取引開始され初値50ウォンが31分後に53800ウォン(1076倍)になったと産経が報じていますが、かの国のエキストリームさがここにも表れ、別の意味で生き馬の目を抜く世界だと改めて感じています。

今週、韓国の知り合いから電話があり、ソウルで流行っていた歯科医の店をたたみ、不動産も現金化して今はキャッシュが山積みになっていてアメリカに移住するグリーンカードも取得したと言います。いわゆる勝ち組の一抜けなのでしょう。まだ若いになぜ、せっかくのキャリアを全部捨てたのか、と聞けば「ビジネスをしていればクレームもありストレスがたまる。だけど投資ならリターンもあり、クレームもされない」と。もちろん、このような考えの人は韓国人に限ったわけではありませんが、韓国の様相を見ていると勝ち組になれなかった人たちの怨嗟があらゆるところで爆発しているように見えます。

韓国人の海外への流出は歴史的にずっと続いていますが、特に97年のIMF管理になって国の行方に暗雲が垂れ込めたとき、多くの国民が国を捨てました。しかし、そもそも北朝鮮というわけのわからない国がソウルから50キロのところに構えていることを思えば恐ろしくてそんなところに住めないと思う気持ちは97年の香港返還を前にした香港人と同じかもしれません。腰が据わっていない韓国経済や韓国社会を見るにつけ、朝鮮半島の病はまだ続きそうだと改めて思った次第です。

超音速旅客機とリモートワーク

ユナイテッド航空がアメリカの新興企業、ブーム スーパーソニック社から15機(プラス35機の追加オプション)契約をしました。これで将来、NY-ロンドンが3時間半、シアトルー東京が4時間半になるそうです。狭い飛行機で座席は70席程度。とすればかつてのコンコルドと同じ全席ファーストクラス仕様(当然料金も)でしょう。往復100万円は覚悟かもしれません。この飛行機会社には日本航空も出資していてJALのほうが優先購入できるはずだったと理解しています。

ビジネス用途では時間を惜しんでも仕事先に出向くということでしょう。ではリモートワークに花咲く「新時代の働き方」はどうなるのでしょうか?実は今日発表になったアメリカ雇用統計には面白いデータも入っているのです。それはリモートワーク率で、4月は18.3%、5月は16.6%と減少傾向が続きます。アップル社が一定数の出社を求め、ゴールドマンサックスも同様のポジションを取ります。リモートで対応可能な業務は残るはずですが、限られた業種に留まるとみています。つまり、私は8月の終わりには北米の風物詩「Back to School」ではなく「Back to Office」が本格化するとみています。

いわゆるコールセンターはインドなど人件費の安いところなどに設けることが多かったのですが、最近、減ったように感じます。結局、相手が電話をした人の状況を理解できずよりその人の状況に踏み込んだ対応ができない、つまりサービスクオリティが下がるのだろうとみています。ビジネスの物理的距離感は思った以上に接近していることが重要だということです。私からすれば軽井沢や九十九里での仕事は絞り込んだ業種でなければ維持できないとみています。

後記

私は日曜日に60歳になります。当地の領事館の総領事も同い年で先日電話でそんな話をしていたのですが、お互いに「赤いちゃんちゃんこは10年ずれたよね」と。還暦とは生まれ変わりという意ですが、総領事も私も健康そのもの。お互い運動もしてまずは70歳まで走ろう、と誓い合いました。70歳で生まれ変わったら120歳ぐらいまで生きる計画を立てますかね。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年6月5日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。