鹿児島県の緊急事態宣言・時短営業要請の正当性は?

先日、私の住んでいる鹿児島市で飲食店の時短営業要請の延長が決定した。鹿児島市内の飲食店はあと2週間、苦しい営業を強いられることとなったのだ。

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行政から発せられた延長の理由は、

現状で解除すれば、医療体制がひっ迫する恐れがあると判断した。

とのこと。

本当にそうなのだろうか?今回は鹿児島のデータをしっかり見ることによってその政策の論拠を検証したいと思う。今回は鹿児島を扱ったが、こういう分析は全国各地で可能なので、是非地元の地区の統計と政策を比較検証してみてほしい。

① 感染者数

鹿児島県のコロナ感染者数は、3月まではほぼゼロ、4月になって10人/日くらいに、5月には50人/日まで上昇。現在は少し落ち着いて20-30人/日くらいだろうか。まだ高止まり、と言っても良い状況かもしれない。(出典;東洋経済オンライン、以下同様)

② 重症者数

感染者の中でも医療に負荷がかかるのは重症者だ。鹿児島県内の重症者数は、日によって1人出たり2人出たりまた減ったりしているものの、現在わずかに2名である。

③ 死亡者数

鹿児島県内のコロナ死は、3月末に1例でたのを最後に2ヶ月ずっと発生していなかったが、5月末に2例発生してここコロナが発生してから1年強の累計死者数が30名となった。

④ 全体の死亡統計

コロナばかりに注目すると全体を見失うので全体の死亡統計に目を広げてみよう。

鹿児島県全体で見ると年間の死亡数は約2万人。うち感染症での死亡は約400人。そのうち、肺結核が毎年約30人でコロナとほぼ同じレベルだ。

出典:鹿児島県死亡統計・平成29年

⑤ 肺炎全体(誤嚥性肺炎含む)の死亡統計

肺炎は呼吸器疾患として感染症とは別にカウントされている。肺炎全体(誤嚥性肺炎含む)で年間約2000人が死亡。インフルエンザは冬季を中心に約50人が死亡しており、こちらもコロナとほぼ同じレベルだ(去年はインフルが激減したので別)。

出典:鹿児島県死亡統計・平成29年

以上をまとめると、

  • 鹿児島県の新型コロナ感染者数は確かに高止まり感があるものの、重症者・死者数は決して増えているわけでもなく、また現在重症者2名、死亡者も月に1名程度で決して多いといえるほどではない。
  • 新型コロナの死亡者数は例年のインフルエンザや結核と比べてもほぼ同規模のものである。
  • さらに、新型コロナも肺炎の一つと考えれば、肺炎死全体の約1%にしかならない(コロナ患者よりはるかに多くの肺炎患者が毎年死亡している)。

という全体像が見えてくる。

最初の延長の理由を再掲しよう。

「現状で解除すれば、医療体制がひっ迫する恐れがあると判断した。」

なぜ、肺炎死全体の1%しかないコロナ死が医療体制を逼迫させるのだろうか?

おそらくそれは新型コロナという外的要因にもまして、医療提供体制など我々社会が抱える内的要因のほうが大きく関与しているのではないか…私にはそう思えてならない。

皆さんはどのように思われるだろうか。

是非、お住まいの都道府県でも上記のような検証をしてみてほしい。その際は以下のサイトで数字を確認してください。

【感染の状況】 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
【都道府県別の死因統計】 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei18/xls/sankou.xls
(※ここにはインフルエンザ死者数は載っていません)