日本の新型コロナ恐怖率を考える

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先日の日経新聞の電子版のある記事に下図が掲載されていた。記事は翌日新聞に掲載されたが、この図は割愛されていたのでほとんどの日本人の知るところではないだろう。内容は図にある標題の通りで、YouGovというHPによるアンケート調査で、図に記載された国を含めいくつかの国においてコロナウイルスを恐れるかという質問に対し、「非常に」と「いくらかは」と答えた人の合計のパーセンテージである。

興味深かったのが、これら6か国の中では日本が別格にコロナウイルスを恐れる人の比率が高かったこと。

本来、ある国において感染者や死亡者が多ければ、社会的にコロナウイルスを恐れる人の比率が高くなっても当然である。この調査、2020年3月から開始されているようなので、同様の期間のこれら6か国の感染者(100万人当り)の推移をみたのが下図。今さらながらではあるが、欧米の感染者が日本(最下部のオレンジ)に較べて圧倒的に多いことは自明。以下データの出典はいつもお世話になっている「札幌医大 フロンティア研 ゲノム医科学」特設ページ。

ただこの図だと煩雑でわかりにくく定量的に把握するため、それぞれの国において日本の何倍の新規感染者が発生していたのかに描きかえた(図は筆者作成)。図の縦軸の1が日本と同じということで、1を上回っていれば日本よりも感染者が多いということである。また軸の単位は「倍」。2であれば日本の2倍、100%増ということを意味している。10や100は10倍100倍を意味し、何%増などという生易しい状況ではない状況がわかるだろう。

さて各国それぞれ感染の山と谷があるが、日本との比較においてアメリカやフランスでは日本の100倍の感染者が日々生じていた時期もあった。アメリカでは昨年の6月、フランスでは11月であったが、その時ですら日本の恐怖率はアメリカやフランスを大幅に上回っていたのである。

図では山と谷が激しいが、後で示すように平均すればアメリカで16倍、フランスやイギリスでも10倍を超える感染者が生じている。この結果は、新聞テレビが連日感染者数の増減や欧米の現状を我が国と同列で報道することにより、国民にコロナウイルスの恐怖を煽り続けた成果の現れと考えても過言ではないだろう。

なお直近の感染者数においても、ワクチン接種の効果のモデルケースのようなイギリス(紫)においても、一時期日本を下回る新規感染者数を観測したが、今はこの6か国の中で最大の新規感染者が日々観測されている。G7はこのような環境下において、これらの国々が参加して開催された(日本は常に1の位置になる)。

ではワクチン接種の進捗状況は?日本のワクチン接種(最下部のオレンジ)の遅れがいろいろと取りざたされているが、欧米ではワクチン接種率が高いにも関わらず感染者数は下げ止まり傾向どころか増加している国もあり、いずれの国も緊急事態宣言下の日本よりも日々の感染者数は大きい。

それにもかかわらず欧米では、今年に入ってワクチン効果が期待されて恐怖率は30%台に低下した。日本のデータはないが状況に大きな変化がないのでアンケート結果は70%台と想定されるので恐怖率は2倍。

参考までに各国の累計感染者(上)と直近7日間の新規感染者数(下)(いずれも人口100万人あたり)。

これらを対日本比で示したのが下図(筆者作成)。日本を載せたが、対日本比なので1倍。アメリカで現在3倍、ワクチン効果のショウウィンドウであるイギリスが6倍でヨーロッパで平均4倍ぐらいだろうか。6月12日現在のデータであるが、ワクチンの効果により感染者が激減した国々よりも、緊急事態宣言下の日本の新規感染者数はまだ各国を下回っているというのが実態である。

ワクチンは欧米人にとっては感染者が20分の1(効果95%)に減る効果があるだろう。日本でのワクチン接種の推進においても異議を唱える気は全くない。しかし一方で、詳細は省くが、もともと欧米に較べ20分の1の感染者しか発生しない日本においては、ワクチンの効果は欧米と異なる様相を示してもおかしくないと考える方が合理的なように思われる。