誰でも今すぐできる、生活習慣病のシンプル予防策

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

近年、生活習慣病の恐ろしさとその予防策が叫ばれている。世界の糖尿病人口は4億6,300万人を超え、我が国でも患者は1,000万人超となり増加傾向だ。これには食習慣の変化や、モータリゼーション(自動車社会の浸透)と相関性があるとされる。要するに食事が不健康化したことと、運動不足によるが主要因だろう。ここへ来て、新型コロナのステイホームでさらに状況は悪化した。

FredFroese/iStock

巷では色々な健康法や食事法などが提唱されているが、様々な流派にわかれ、また取り組みが複雑で実践は難しいものが少なくない。そんな中、個人的に取り組んで「毎日体重を測る」というシンプルな取り組みで大きな効果が得られた。

お断りしておくと筆者は医療関係者ではない。ただの素人の個人研究者に過ぎない。だが、個人的に取り組んだことで、健康診断で劇的な改善が得られ体重も健康的に減らすことができた。この方法は誰にでも取り組むことができることから論考したい。

健康維持には食事と運動

健康維持には、食事と運動が最も大きな影響力があるだろう。その他にも喫煙や深酒、睡眠なども健康ファクターとして要素はあるものの、すべての生活習慣を一気に健康的にしようと意気込むと、あまりにも大きな生活習慣の変化を余儀なくされる。ホメオスタシス(恒常性維持機能)と呼ばれる機能が備わっており、人間にとって習慣の変化は難しいのだ。

そのため、いきなりすべてを健康的にしようとするのではなく、まずは健康的な食事と、毎日の軽い運動を取り入れようという現実的な提案をしたい。食事と運動を整えることで、健康維持のインパクトがあるということを、素人ながら断定しても良いと思っている(過去記事「「運動して痩せる」をやめればダイエットに成功する」では、食事を健康的にする方法も書いたので参考にされたい)。

体重を毎日測るというシンプルなソリューション

「食事と運動を健康的に」と言うのは簡単だが、それを実践することは容易ではない。特に食事は生命に直結する要素であり、日々の習慣の積み重ねである。「食べすぎてはいけない」ということは誰しも、論理的に理解していても、それをコントロールすることの難しさは筆者もよく理解している。

難しい食事と運動をどうコントロールするのか?あなたがやることは極めてシンプルだ。ズバリ、毎日同じタイミングで体重計に乗って測定するだけである。測定した体重は記録して見える化して、日々意識する。やり方はおまかせするが、スマホアプリや、体重計そのものに記録するなどとにかくチェックできる形が望ましい。

▲筆者が付けている体重計データ。Googleスプレッドシートに記録して管理。

「たかが体重を測るだけで健康を維持できるのか?」と思われるだろう。だが、実践するとその認識は確実に一変するだろう。多くの人は食べ過ぎた後悔をすぐに忘れて、自己正当化に走りがちだ。「昨日は酒の勢いもあって食べ過ぎたな…。まあ一日くらいいいか。次から気をつけよう」という具合に改善がない。確かに一日暴食したところで、決定的な不健康化にはならないのは事実だ。しかし、この小さな積み重ねが大きな問題を作る。重要なのは「改善の意識」を作り出すことなのだ。

毎日体重を測ると改善のきっかけが生まれる

日々、体重を測っていると、上下に小さな変動の揺らぎが続くことを認識する。食べ過ぎた翌日はこの変動が大きくなる。毎日500g前後の変動だったものが、いきなり2kg増えたりする。「これはまずい!」という危機感を覚える。このように異常値を検出するきっかけを与えてくれるのが、体重測定なのだ。

筆者の場合、外食などでつい食べすぎて、体重が思いの外増加した時は、次回の食事量を減らすことで調整している。1回で戻らなかったら、その次の食事も少なめに。これで元の適正体重へと戻すことが可能だ。多くの人がつい食べすぎを止められない理由として、「いつまで少食を続けるのか?」というメドがないことが一番の理由だろう。1回、2回はできても徐々に少食が辛くなっていく。そしてある日、我慢の限界に達していきなりタガが外れて暴食してしまうのがオチだ。体重測定は「頑張るメド」を明確にしてしてくれるために、納得感を持ちながら食事の調整をすることができるだろう。

また、健康維持には運動もかかせないが、体重測定はこの日々の運動も促進してくれる効果がある。筆者は毎日7,000歩の目標を持っており、部屋の中のウォーキングマシンで歩いている。食事が変わらないのに、体重が微増したら「後1,000歩増やそう」と消費カロリー量を調節している。体重を増やさないようにするには、食事を減らすか運動を増やすしかないが、できるだけ食事量は減らしたくない。「食事を減らすくらいなら、サボらずに今日も歩こう」という気持ちが生まれ、結果的に毎日ウォーキングする習慣も続ける事につながった。

このように毎日、体重測定をして日々の体重の変動を意識するだけで、食事や運動を健康的に整える理由を作ることができる。体重の急増など、異常値も素早く検出して即対処することで健康維持に一役買ってくれるというわけだ。高いダイエット食品で財布を痛めたり、続きもしないエクササイズに励むより、まずは自宅にある体重計で毎日体重を測って記録をする、これだけで驚くほど健康的な生活習慣を作ることができるのではないだろうか。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。