国会議員などの資産公開は普通預金も公開すべき --- 松橋 倫久

大臣の資産公開を新聞で見たときに感じた、違和感がある。大臣であるにも関わらず、資産がゼロの方がいらっしゃるのだ。国会議員の平均年収は、2千万円を超えるという。いくら選挙にお金がかかるといっても、年間2千万円を何年ももらってきたのなら、資産がゼロということはないのではないか?

閣僚の資産公開 平均は1億652万円 NHKより

ネットの記事を見て、その疑問は氷解した。国会議員は普通預金や当座預金については、残高を公表する義務がないというのである。つまり、定期預金はゼロ円で、普通預金が5億円あったとしたら、公表される資産額はゼロ円なのである。

そもそも国会議員の資産公開がなされている理由は、在職中に不正によって資産を増やしていないかどうか、監視するためのものだ。そうであるならば、普通預金や当座預金の増減も把握しなくては、国会議員資産公開法の目的が果たせず、全くのザル法であるということになる。

国会議員資産公開法が制定された目的を鑑み、普通預金と当座預金の残高を公開するように、速やかに法整備をするべきである。

また、地方へ目を向けると、資産公開については、「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律」7条により、都道府県知事、市区町村長、都道府県議員、指定都市議会議員については義務づけられ、条例で定めることとされている。資産公開が義務づけられていない指定都市以外の市区町村議会議員については、政治倫理条例の中に関係規定を置くか又は単独条例を制定して、資産公開を制度化している団体もある。

地方自治研究機構 政治倫理条例

私は資産公開について、現在法律で公開が義務づけられていない指定都市以外の市町村議会議員についても、公開するべきではないかと考えている。もちろん、持っている力が相対的に小さければ、不正が行われる可能性もまた低くなるとは思う。だが、そうとはいっても規模の小さな自治体でも不正がニュースになることもあるし、自治体の規模に関わらず権力を持っている人が不正を行うことを監視する必要があるのではないかと思う。

資産公開を有効なものにするためにも、国会議員などすでに公開が義務づけられている人たちについては、普通預金・当座預金額の公表を求めたいし、また現在公開が義務づけられていない人たちについては、新たに資産公開の対象として条例を制定し、資産公開を求めていくべきと思う。

松橋 倫久
1978年青森県生まれ。中央大学、東北大学を経て2002年青森県庁に奉職。在職中弘前大学大学院修了。統合失調症を患い2016年同庁退職。現在は求職活動の傍ら、自治体行政のあるべき姿を研究中。